第4話 「友達」3


 ——とまあ、色々あってようやく放課後に辿り着くことができたのだが、隣の席に座っていた親友というか腐れ縁でもある、前沢誠也まえざわせいやが声をかけてきた。


「なあ、お前って四葉さんと兄妹なんだろ?」


「ん? あ、まあそうだが……どうしたんだよ?」


「——いや、そのな、家とかって一緒なのかなぁって?」


「一応一緒……」


「——おお‼‼」


「……な、なんだよ?」


「今日、行かせろ」


「……は?」


「だから、行かせろ」


「ダメに決まってるだろ?」


「なんでだ!」


「嫌だ、理由はいろいろあるが駄目だ」


「嫌だ、俺は行くぞ!」


「しつけえよ……」


 僕はすぐに否定したが前沢は食い下がらなかった。一体全体何を企んでいるのか分からないが、こういう類い話は苦手だし、特に四葉なんて僕よりもできない。


 ここはとにかく否定するしかなかった。


 しかし、言い合いを始めて五分が経った時、彼女は現れた。


「——ゆ、柚人?」


 小動物の様な弱弱しいオーラに身を纏いながら、唇をぷくりと含まらせた四葉が上目遣いでこちらを見ている。帰る約束もしていたため、隣に変な男がいて少し驚いていた。


「おお、四葉」


「う、うん……それで、えっとぉ、帰りましょ?」


「そうだな、おう」


 そして、すぐに歩き出した四葉の隣で進もうとするとなぜかそれ以上、前に進むことが出来なかった。


「?」


「おいっ!」


 どうやら、僕の右腕は前沢に掴まれているようだった。


「……なんだよ?」


「なんだよ? じゃねえよっ‼‼ なぁにしれッと帰宅しようとしてるんだおめえはよ‼‼」


「う、うるさいって……」


「うるさくねえ! まずは俺を処理してからにしやがれっ」


「処理も何もなぁ……いくら前沢とはいえ、うちに来られると少々厄介なんだよ……」


「厄介? そんなに行ってもいけない理由でもあるのか?」


 特別、そんな理由があるわけではないが適当に考え、四葉を一度見てから僕は答えた。


「……?」


「……えっとな、今日はその……家族になってから初めてのお、お祝いをするんだ」

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