第4話 「友達」3.5

「ただいま」


「かえりましたぁ~~」


 家に着くと肩に積もった疲れという名の重荷がどしっと圧し掛かった。


「っはぁ……」


「……大丈夫ですか?」


 僕が溜息をつきながら座り、靴を脱いでいるとその隣で四葉が肩を触ってくる。


「っひ」


「ひ?」


「あ、いや、なんでもないっ」


 あまりにも優しくふんわりした手つきだったせいか、変な声が出てしまった。距離にして三十センチもない所にいる四葉の薄く紅潮した頬を見ると、なぜだか僕の顔も熱くなった気がした。怖いというか、恐れというか。どうやら僕は緊張しているようだ。


「ほんとですか?」


「ああ、大丈夫」


「そうですか……じゃあ、その、お母さんもいないので四葉がお茶入れますね」


「いいのか?」


「うん、大丈夫です……手を洗って待っていてください」


「……おう」


 静かにしゃべるその姿はこれまた大人の色気を醸し出していたが見た目からはあまり想像できないギャップに萌える人間もいるのかもしれない。巷では、一年生の頃からその人気は高かったらしい。


 それに、僕自身。昔はもっと仲も良かったし遠慮もしていなかったから感じてはいなかったのだが、こうして近い所から見ると可愛い顔立ちをしていることに気づいた。まったくもって今更だ。


「かわいい……」


 思わず呟いてしまったが聞こえていなかったようで、表情一つ変えずに四葉は台所へ向かっていた。




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