第162話:魔人と戦うことになったんだが②
「ん、あれは……」
魔人の前には、さっき食堂で知り合ったカインの姿があった。
俺たちより一足早く到着していたようだ。
「ここは俺に任せておけ!」
そう宣言したカインが魔人の懐へ飛び込んでいく。
キンッ!
カインの剣が魔人の背中を直撃。
だが——まるで硬い石に打ちつけたかのような高い音とともに跳ね返されてしまう。
「くっ……!」
直後にゴミを弾くような軽い動きでカインは吹き飛ばされ、家屋に突っ込んでしまった。
おそらくあの一撃で致命傷にはなっていないはずだが、かなりの深傷を負ったはずだ。もうまともに戦える状態ではないはずだ。
「カインさんでも手も足も出ないなんて……」
「こんなのどうすれば……」
「これまで戦ってきた敵とは次元が違う……」
村の冒険者たちは、カインがあまりにもあっさりと倒されてしまったことで魔人の存在に絶望しているようだ。
次々と着弾する魔法や弓による遠隔攻撃も魔人には通用していない。
かなり皮膚が硬いのか、矢が刺さることはない。魔法も攻撃ほとんど生命力を削れていなかった。
これほどの強さの魔人のステータスはどれほどのものか。『魔眼』を使って、確認しておく。
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名前 :クレッグ・リドラー Lv.70
クラス:魔人
スキル:『硬化』『撹乱』
HP :76800/76897
MP :43579/44555
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攻撃力:A
防御力:S
攻撃速度:S
移動速度:S
魔法攻撃力:S
魔法抵抗力:S
精神力:S
生命力:S
魔力:A
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ほぼ全てのステータスがS……。
HPとMPを除けば、アイテムボックスの中に眠っている魔族ケルカスと同じくらいの戦闘力だ。
周りの冒険者の攻撃がほぼ通らず、苦戦させられているのも合点がいく。
俺のステータスなら無理なく倒せるはずだが、スキルが少し気になるな……。まあ、今は気にしても仕方がない。
「ミーシャ、強化魔法を頼む」
「うん、すぐにかけるね」
ミーシャは阿吽の呼吸で俺とアレリア、アイナ、アリスに強化魔法をかけてくれた。
今回の強化魔法は、『攻撃力強化』『防御力強化』『攻撃速度強化』『移動速度強化』『魔法攻撃力強化』『魔法抵抗力強化』『精神力強化』『生命力増幅』『魔力増幅』の九種類フルセット。
さすがにこれが四人分となるとキツいらしく、ミーシャは付与を終えた後少し息を切らしていた。
「サンキューな。あと……余裕があればカインにこれを飲ませてやってくれ」
そう言って、俺はアイテムスロットから取り出した『光り輝く生命力ポーションLv.5』を手渡した。
それから、念には念を入れて作り置きしておいた七種のポーション——『光り輝く攻撃力ポーションLv.5』『光り輝く防御力ポーションLv.5』『光り輝く攻撃速度ポーションLv.5』『光り輝く移動速度ポーションLv.5』『光り輝く魔法攻撃力ポーションLv.5』『光り輝く魔法抵抗力ポーションLv.5』『光り輝く精神力ポーションLv.5』も飲用しておく。
これにより、ミーシャの強化魔法とは別枠で更なるバフ効果を得られる。
「じゃ、いくぞ」
宣言し、俺が先陣を切る。
「まずは、手始めに……」
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