第131話:様子を見に行くことにしたんだが①

 ◇


 王都に帰還した俺たちをレグルスが迎えてくれた。



「ユーキ……また女増やしたのか。しかも二人も」


 と、呆れた様子で。


「ハハ……」


 苦笑いするしかない。


 アリスはついてきたいとお願いされたので連れてきただけなのだが、ミーシャに関しては結婚を迫られている。


 正確に説明しても言い訳がましくなるだけなので、もうこれでいいや……。


「にしても、これだけの大所帯だと部屋を追加した方がいいんじゃないか?」


 これまでは俺とアレリア、アイナの三人とスイ、アースということもあり、広めの部屋一つに集まっていた。


 レグルスの言う通り、そこにミーシャとアリスまで加わればさすがに手狭になる。追加の部屋は必要だろう。


「確かにな……。頼んでもいいか?」


「お安いご用だ。部屋は余ってるからな。一人一部屋用意しておく。割り振りは適当にやってくれ」


「助かる」


 こんなやりとりをしていると、どちらが国王なのかわからなくなってくる。


「おっと、そういえばユーキが戻ってくるまでの間に勇者の動向については一応調べたんだが……いつ確認したい?」


 この言い方だと、今すぐ確認してほしいってわけじゃなさそうだ。疲労面に配慮してくれている側面もあるかもしれないが。


 とはいえ、カタンの一件から勇者関連の優先順位は高い。


「すぐ確認するよ」


 アレリア、アイナ、ミーシャ、アリスの四人には部屋で待っていてもらうことに。俺とレグルスと一緒に会議室に入った。


 ◇



 十数人の役人たちを集めて会議をするために用意した部屋。俺とレグルスの二人だけでは少し寂しく感じる程度には広い空間である。


 円卓に横並びで座り、向かい合う形で話し合いをするのがいつものスタイルになっている。


「これが経過報告書だ。引き続き調査は進めているが」


 手渡された十ページほどの資料を確認する。


 資料には、各国に追放した勇者たちの生活態度がまとめられていた。


 確認する限りでは、怪しげな行動はない。それどころか、六人ともまるで心を入れ替えたかのように清廉潔白な人間そのものだった。


 定期的に行われるヒアリングでは自らの罪を懺悔しているそうだ。


 監視がある生活への文句は言わず、国からの指示には従い、自ら冒険者への手助けを買って出る者までいる——と、資料には書かれている。


「どう思う?」

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