第118話:朝活が充実しているんだが
ヴィラーズ帝国に来て約二週間。
想像以上に長くなった滞在期間で少し朝の日課も変わった。
朝の剣道場。
「うおおおおお——っ!」
ユリウスさんが全力で俺に向けて剣を振る。
毎朝一緒に汗を流すようになり、いつの間にか俺はユリウスさんの先生役になっていたのだった。
初めて手合わせした時から比べると、ユリウスさんの腕前は目に見えて上達したと思う。
「上半身の方は大分良い動きになってきましたが、次の課題は足ですね」
キンッ! キンッ! キンッ!
冷静に意識するべき部分を指摘し、ユリウスさんの攻勢を迎え撃つ。
俺はタイミングを見計らってわざと一瞬の隙を作り、攻撃を誘った。
ユリウスさんはここぞとばかりに隙をついてきたのだが——
「うおっ!」
ツルッとユリウスさんの足元が滑り、転倒しそうになる。
全力で踏ん張ることで体制を立て直したユリウスさんだが、目の前には俺が持つ剣の先。
俺は、ユリウスさんが腕を伸ばした瞬間に無理な姿勢になるよう誘導していたのだ。
「いやあ、参ったよ。毎度のことだが事前に言ってくれても引っかかるもんだな……」
「今日はちょっと意地悪でしたけど、俺が小狡い手を使い始めるくらいにはユリウスさんは上達していますよ。すごい成長速度です」
お世辞抜きの本心だ。
転生したことにより強力な力を手に入れたが、記憶を引き継いでいるためそれなりに常識も備えているつもりだ。
俺の常識からして、ユリウスさんは才能の塊だと感じている。
「今日もありがとう。じゃあ、そろそろ別れて自主練だな」
「そうですね。お疲れ様でした」
起床後、身体を解した後にユリウスさんと試合形式の指導。その後に別れて自主練。この二週間はずっとこのパターンになっている。
俺は頭を下げ、剣道場を出る。
すぐ側の庭に出て、自主練を始めた。
素振りをしながら久しぶりにステータスを確認すると、変化があることに気がついた。
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名前 :松崎祐樹 Lv.5
クラス:賢者
スキル:『システム操作Lv.1』『神の加護Lv.1』『気候操作Lv.3』『大陸共通語Lv.3』『結界魔法Lv.2』『魔眼Lv.1』『魔のエネルギーLv.1』『竜のシナジーLv.1』
HP :117795/117795
MP :236987/236987
SP :118
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攻撃力:SS
防御力:S
攻撃速度:S
移動速度:SS
魔法攻撃力:SS
魔法抵抗力:SS
精神力:S
生命力:SS
魔力:SSS
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以前まではなかった次のページがいつの間にか追加されている。
次へをタップし、次ページを開く。
すると、熟練度という見慣れない項目が表示された。
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★熟練度
索敵+7
クリティカル+5
魔力効率+5
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