公園


おれの内側から

大切なものが流れ出すのを

ただぼんやりと

直射日光の下で眺めていた

全てが流れ出してみれば

どうしてそれが大切だったのか

もはや思い出せない

公園で

立ち上がるのは永遠に不可能なような気がする午後

おれはガムを噛むことにした

それが過ぎ去りし青春を取り戻す唯一の手段であるかのように

一心不乱に

噛んだ

言葉は要らない

ただ異常なまでの執念があるだけだった

その様子は公園を歩く母親たちの視線をわざわざ借りるまでもなく常軌を逸していた

「大丈夫ですか?」

通報を受けた警官がやって来た

「ガムです、ただそれを噛んでいただけです」

警官は犯罪性は無いと判断しその場を去った

だがそれが間違いなのだ

おれの中ではとっくにお祭りが始まっていた

真っ赤に染められた子羊が大量に積み上げられていた

「わあっしょい! わあっしょい!」

どこからともなく叫び声も聞こえて来た

それを発しているのが自分自身だと気付いた時の微かな驚き


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