中毒者の午後


もうやめよう

何度そう思ったかわからなかった

だが駄目だった

再びお前を味わいたくなってしまうのだ

おれの意思ではない

おれを操作する権限がおれには与えられていないようなんだ

覗いてみたら中身の何も無い空っぽの箱が

お前でいっぱいになれば

この世界で生きる意味を錯覚、出来そうなんだ

実態の無い影と仲良しになれるから

おれがこの世界に生まれて来たのは

ただお前を知るためだったと気付くだろう

あの記念すべき夏の日から

お前はおれだけに微笑め

いつでもおれの背後はがら空きにしてあるから

そっと音も無く近付いて

至近距離まで詰めて

お前の気配を感じてもおれはけして振り返ったりしないから

殺してくれ


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