おれは天才だ


おれは天才だ

本当はそんなことどうでもいいが

あまりにも周りがそう言ってくれないから

自分で言う羽目になった

セルフだ

ガソリンだけじゃないのだ

「おれは天才だ」

なあ

いい加減、賞くれよ

まじで

新人賞

おれはそいつの募集欄を読んでみた

この世の中に新しい才能の風をなんとかとか書いてあった

………

おれ以外の誰がいるって言うんだよ?

ええ?

なあ、こんなことを言わせるなよ

おれはさ謙遜する準備は十分、出来ているんだ

「いやあ、そんなことないですよお〜」

だがもう切羽詰まっている

他人からどう思われるとかそんなの構っていられないんだ

余裕が無い

中原中也賞に五年連続でかすりもしない

おれは勘違いしたただの馬鹿か?

いや

おれは受賞に値する詩集を送った

なのに審査員の見る目が無くって受賞、出来なかったんだ

世界は狂っている

だがおれは狂っていない

目の前にフルーツシェイクがありそれは酢味噌味と記載されている

「すさまじくまずい!」

まさかその言葉を最初に口にしたのがおれなんてな


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