第十七節:バスルーム

 美味しい夕食も無事終わった。


 堪能たんのうしすぎて少し酔いがある男性陣。


 『ウィーゼル』は食後の祈りを欠かすことは無かった。


 『セリア』は美味しい夕食だったが、今回は考えることが多かったようで無口であった。


 私は相変わらず貴族式の食後の祈りを行っていた。


 その後、食堂を後にするのである。



 自室に戻っても『セリア』さんは無口なままであったのである。


 仕方がないので「『セリア』さんはお風呂どうしますか?」とこちらから聞くことにしたのである。


「んー、ちょっと考えごとはかどりそうだから、『ウィオラ』ちゃん先に入ってていいわよ」と『セリア』はいった。



 寝着ネグリジェを持ち、下着類インナーを持つ、先ほどトイレに行った時に見たところ、洗い用の小物は二人分以上つまり日数分は用意されていたしタオル類も三種四日分が入った箱があったのである。


 先にドレスだけ脱ぎ丁寧ていねいたたんで、背嚢リュックにしまい込んだ。


 明日の着替えと明後日の着替えはすでに外に出ているためであった。


 そして四日目最終日は旅装に戻るのである。



「お風呂お先にいただきます」と『セリア』に告げるとお風呂に入りに行った。


 『セリア』さんは何か考え事に没頭している、それは私にもわかった。


 それが何なのか、私には分からなかった。


 ひとまず、お風呂の設備を確認する。


 シャワールームとバスタブがあった、せっかくバスタブがあるので湯を張る事にした。


 その間に着替え場に寝着と下着類を置いて、シャワールームで髪を洗い一旦髪に魔法力を伸ばしコントロールする、領域コントロールに置き換わると石鹸水を髪の合間に通し領域コントロールを使って洗う。


 化粧などはほとんどしていないのでメイクを落とす必要はあまりない。


 それをやってる間に浅く広いバスタブに湯が溜った。


 湯を止めて、髪を洗い流してしまう。


 頭の上に一旦タオルで髪を巻き巻きしてクリップで留めると、体を洗うためにバスタブに入って体を洗い始めた。


 領域コントロールは維持したままであり、現在はコンディションを整えるコンディショナーが循環じゅんかんしているわけだ。


 体の全領域を洗い終えると一旦、お湯を抜きシャワーを引き込み体に着いて残っているアワアワをバスタブの中で流し落とした。


 そのままバスタブを軽く流し洗うと栓を元に戻した。


 シャワールームに戻りクリップを外しコンディショナーが髪全体に行き渡っているか確認すると、領域を解いて髪を降ろし髪を洗い流し再び魔法力を髪に行き渡らせた。


 コンディショナーが落ちているかどうか確認の後で、領域コントロールを再び解くと今度はシャワーの温度を上げて少々熱めの湯を浴びるのである。


 数分浴びて体が温まると、直ぐにかけておいた二つ目のタオルで体から水分を拭きとり、そのあと体から細かい水分を魔法力で払い飛ばすのである。


 そして風呂場から上がり、着替え場で下着を付け、寝着に着替えるのである。


 鏡で今の状態を確認し、髪にコームを通し整えておく。


 それが、終わったので着替えて洗濯に回すモノを一旦持つと着替え場からも上がるのである。


 そして、『セリア』に報告した。


「『セリア』さん、お風呂空きましたよ」と私はいった。


 返答が無かったので、少し心配になって部屋のベッドルームに戻る。


 まだ考え込んでいた。


 仕方がないので一旦前を通り過ぎて実際に上がったということを見せる事にした。


 すると今度はしっかりとした反応があった。


「お風呂どうだった?」と『セリア』はそう聞いてきた。


 なので、バスタブがあったことを伝えることにした。


「バスタブとシャワールームがありましたよ? 結構良い感じでしたが」と私はいった。



「そっかー、バスタブ付きかーやっぱり豪華だなー、よし考え事は後回しだ。お風呂お風呂」と言いながら色々持ってお風呂に入りに行ったのである。



 体が冷えないうちに、私はベッドにもぐりこむことにした。


 その前に、ボンサックを取り出してその中に、洗濯物を入れ込んだ。


 そしてベッドにもぐりこむのであった。



 明日の自由行動時間に洗い物をしようかな? と考えながら天井を眺めていた。


 その内、眠気が来て『セリア』におやすみなさいをいう前に眠ってしまいそうだった。


 へッドボードの横に置いてある小物入れ兼小テーブルの上のメモに、“おやすみなさい、お先に寝ます”と書置きだけ残して寝ることにした。


 もう一度ベッドに入ると、五分も経たないうちに睡魔がやってきて眠りに付いたのであった。


 『セリア』が、お風呂から上がったのはそれからさらに三十分後だったのである。


 私はすでに夢の中であった。


◆ 私『セリア』視点


 ヘッドボード横に書置きを見つけた私はつぶやいた。


「聞くのは明日かー、まあ聞いて分からなければ仕方がない」と。



 私も寝ようっと、とベッドにもぐりこんだのであった。


 そして、私も眠りに付いたのであった。



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