第十節:魔獣討伐
そして五号車に乗り込み私と『セリア』で『ウィーゼル』と『ゲルハート』に分けた。
すると『ゲルハート』がいった「かなり甘いな、こんな甘いモノ食べたのは久しぶりだぜ」というと『ウィーゼル』から突っ込みが入った。
「お前さんさっき果実を食べて無かったか?」と『ゲルハート』がそれに答えた「実は確かに果実なんだがあのクストの実は甘くなくてな、アレは消化を助ける実なのさ。一種の薬みたいなものでな。本物の薬は高いがクストの実なら丸ごと食べないと効果が無い上にソコソコ安いんでな四つ買ったんだが、後果実なのに一週間はそのままでも持つからな、四つ買って二ブロスしかしないしな。安上りなんだアレは覚えておくと結構イイゼ」といった。
「時間も遅いし、二十三時に成りましたし、お腹もいっぱいですし寝ますか?」と私がいうと皆それに同意したのでランタンを消すと皆寝る体勢になった。
私も空いているスペースというかほぼ専用のスペースとなった進行方向に向かって左端まで行くとサーコートで体を包み寒くはない筈なのだが念のため寝ることとした。
都合小銭入れがから減った重量が[0.120kg]で小銭が全て尽きたのとレモン砂糖干し大袋〇.四キログラムが増えたので全備重量が六十三.二一五キログラムとなった。
明日にはセンシウズラだが下手するとキマイラに当たる恐れがかなり高かった何故ならば討伐情報がこちらにもまだ貼ってあったということだけは記しておく。
因みに、報奨金額は四百ゴルトと被害に相応しく大きかった。
早朝の事であった、出立の準備をしている最中にアマルテオに早馬が飛び込んできた。
「大変だー! こっちに向かってキマイラが突撃してくるぞー!!」という早馬の知らせが届いたのであった。
このため、アマルテオは大門をすべて閉じて閉鎖状態になったが、唯一欠点があった。
ヤツは、キマイラは空を飛べるのである。
あっという間に車列広場の南東側にヤツが降り立った。
馬はすでに怯えており狂乱状態になっている馬も、他の車列には認められた。
「囲むぞ」と『ウィーゼル』がいった。
「どう囲むの?」と『セリア』が聞く。
「二ランクパーティーの力は借りられないから、馬車に張り付いていて貰いましょう」と私がいう。
「そうだな、彼らの力は借りられないから、馬車に張り付いて意地でも通さないようにしてもらおう」と『ゲルハート』がかなり無茶な話をした。
「『セリア』は中央で後衛寄り、二つの頭はそれぞれ俺と『ウィーゼル』で仕留める。
『ウィオラ』はヤツの後方から尻尾の先の厄介な毒蛇の頭を潰してくれ」と『ゲルハート』がいった。
「この戦法は今しか取れない。ヤツが車列に近づいてからでは、遅いんだ」とさらに続けた。
「分った。
「『ウィーゼル』はまだ前回のことがあるからヤギの頭を、『ゲルハート』はライオンの頭のほうをお願い!」というと自己術式の疾風をかけた。
「『セリア』はどちらの頭も狙えるように牽制で、不味かったら叩き潰してもいいから」と続けて私がいって馬車から
「二人とも遅い」と後ろで『セリア』が怒った。
「流石に速いな」と後ろでいいながら『ウィーゼル』と『ゲルハート』が駆け出した。
『セリア』が馬車から出て呪文を唱えながら急ぎ足で掛けだした頃、私はすでにヤツの三メートル程手前で、超々跳躍に踏み切った。
高度五メートル程は高く跳ね上がったためヤツの
そのまま空中で
ヤツは大したことは無いと踏んだのか、
それがヤツの甘さだった。
抜き放った真空刃は三十六発、それが全て背中に吸い込まれる。
全て翼が吸収したが、翼自体は崩壊寸前まで
流石にこちらに向きを変えようとするが、『ウィーゼル』が左前側から『ゲルハート』が右前側から突っ込んでくるので向きを変えられなかった。
そのまま『ウィーゼル』が
ほぼ同時に『ゲルハート』もパワーヒット一撃だが
流石にバックジャンプをしようとするが、私が上から降ってくる。
軌道を毒蛇が読み軌道を変えようとするが、間に合わず私とクロスする軌道になった。
交差の直前、私は片手居合で真空刃を抜き放った。
最大連撃で! 流石に避けきれず毒蛇が、尾の根っこから千切れ飛んだ。
私は疾風の効果時間中であるため
前方からの攻撃こそ回避できたものの、キマイラはこの時点で飛べなくなり後ろへの視界も失っていた。
◇ キマイラ視点
後ろは気にかかるが、前のほうが今のオレには怖かった。
魔導士が居るのである。
少々距離は遠めだが、魔導士に距離は関係ないといっても過言では無かった。
しかも最初の一撃目を無視して受けた、翼へのダメージが痛すぎた。
そのまま後方に回り込みたいが前方側左右は距離を詰められすでに二メートルまで詰め寄られている。
読みが甘かったらしいが、それが
今まで近付けば全て逃げていくので、襲い掛かられたことが無かったのである。
戦闘経験がモノをいった形になった。
呪文戦闘はできなくはないが、詠唱中に殴られでもしたら呪文は止まってしまう。
現に毒蛇はもう居ない。
後は一人だが戦闘力を考慮すると、近接戦闘は
だが後ろには呪文は効きそうだと思って静かに呪文を唱えだした矢先、不意に胴体を巨大な見えない手によって鷲掴みにされ動けなくなっていた。
何かわからないが危険であることは、分かったがすでに遅かった。
◆ 視点は変わる、私こと『ウィオラ』視点
左から山羊頭目掛けて拳の
同時に右からも獅子頭目掛けてグレートソードが
それぞれが同時に命中し両頭とも無くなった。
そこに胴体に魔力撃が連撃で刺さった魔導士の攻撃であった。
キマイラはそのままその場に崩れ落ちた。
誰もが見ている状況で、この戦闘が終了したのである。
しかも
流石に皆
それが最初の切っ掛けとなり拍手で皆が皆、盛大な拍手を送ったのである。
そこに役人もやってきた、惨状を見て誰がやったのかと近場の商人に問うた。
「彼ら四人だ」と即座に答えた。
役人が魔導士と思われる『セリア』の前にやってきて「
そして『セリア』に報奨金を渡して去って行った。
馬車の車列に戻ると『セリア』が報奨金を分けながらいった。
「さっきの術は誰の術? あんなの見たことないけど」と。
「アレは異界魔法の一種、少々レベルが高めだからしんどかったけど掛けてみたんだ、効果は絶大ね」と私がいった。
「余り無理しちゃダメよ。ほどほどにね」と軽く注意されただけで済んだ。
第三章 第一節へ
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