別れ

第19話

 次の日に雨宮の転校が発表されて、学年全体がざわついた。

「おい聞いたか尾道?」

「なんだい佐藤?」

 昼休みの時間僕たちは教室で机を向かい合わせて弁当を食べていた。

「雨宮転校するってよ」

「聞いたよ」

「なんだ。さすがに耳が早いな」

「一応部長だしね」

「あー残念だよな。部にも入ったばっかりだったのに」

「そうだね」僕はふと気になって佐藤に訊ねた。「そういえば佐藤ってESS好きだよね?」

「んん? ああ好きだぞ」

「それってなんで?」

「なんだ急に?」

「気になって」

「なんで好きかって、そりゃあ面白いからだろ」

「じゃあ、いつ好きになったかとか覚えてる?」

 佐藤は思案する顔になる。

「覚えてないな。なんだ気になるのか?」

「ちょっとね」

「お前はなんで前はエッドエモーションが苦手だったのか覚えてんの?」

「うーん。なんとなくおぼろげに何かがあった気がするんだよね」

「そんなに気になんなら親に訊いたり昔のアルバム見てみろよ」

 なるほど。その手があったか。

「たしかに。訊いてみるよ」

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