第20話


 ごめんなさい、書き終わらなくて今の投稿になってしまいましたm(_ _)m

 そして短いのですが、ご了承ください。



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 食事も食べ終えた頃。テレシアさんも皿を空けておかわりしたワインを飲んでいるが、その顔は平常そのもの。お酒に強そうで、全然ケロッとしている。

 上品に嗜んでいると言おうか、しかし苦笑いがあるのは何故か。


 俺の隣からは、明らかな酒気を感じる。テレシアさんなんかは思いっきり視界に入っているのでわかりやすいだろう。


 「…………ん」

 

 ワインは言うまでもなく酒だ。俺も酒なんて飲んだこともないので詳しくはないが、地球ではアルコール度数的に酒の中でも中間に位置しているらしい。

 赤ワインとか白ワインとかよく分からんし、使ってるぶどうの種類や製造手順なんて知りもしないが、まぁ酒なのでつまり酔いがある。中間程度ということは、酔う人も普通に居るのだろう。


 結果としてルリは顔を真っ赤にしながら、俺の方にもたれかかっていた。

 しかし上機嫌そうにワインは口にしている。


 ……しまったな、酒は飲めても酔ってしまうタイプか。


 俺は目元を覆いたい気分だった。ルリが酒を飲めると言ったのは、気分が悪くならないという意味なのだろう。酔いは含まれていない。

 先に聞いておけばよかったと後悔してももう遅い。今からルリの酒気を抜く方法なんてないし、そしてルリは明らかに酔っている。


 俺を支えにしているのも、もはや無意識なのかもしれない。


 「……とうやぁ……」


 甘えた声を出してくるのも、また何と言おうか。


 ルリは酔うと甘えてくるタイプらしい。残ったワインを呷り、空になったグラスを少し雑にテーブルに置くと、その小さな体をこちらに押し付けてくる。

 抱きつき、に近いかもしれない。


 テレシアさんが居ることなど気にしていない……いや、そもそも意識の外であるかのように。


 困るのは俺だ。これが本当に兄妹ならともかく、実際にはそういう訳では無いので内心確かな気まずさを感じている。

 だからそんなに体を押し付けてこないでくれ。この柔らかさは少し、いやかなり危ない。


 水を飲んで誤魔化しても、テレシアさんが見ているのが辛い。一応ルリもワインを飲み終わったようなので、そろそろ出た方がいいだろう。色んな意味で。


 「すみませんテレシアさん、俺達はこれで失礼します。見ての通りルリがこんななので」

 「……まだ、飲めるよ。トウヤも飲も? 一緒に飲めば、美味しい……と思うし。それに初ワイン?」

 

 普段よりも饒舌に喋るルリ。酔いが回っているのだろうか。

 そもそも、酒で酔う感覚を俺は知らないので、実際なぜこうも性格が変わったり饒舌になったりするのかが少し理解できない。恐らくルリの場合はテンションが上がって陽気になっているような感覚なのだろう。


 俺が酒に酔ったらどうなのだろうか。そもそも美味しく飲めるだろうか……それはともかく。


 「そうだね。じゃあ私もどうせだし出ようかな。これ以上居ても飲み物を頼むことぐらいしかしないし」


 テレシアさんも席を立ち、俺も席を立とうとして少し不安定になる。

 ルリが俺の事を掴んでいるのだ。


 「ルリ、宿に戻るぞ」

 「……や」

 「いや、『や』って、そんな拒否されましても……」


 フルフルと首を振って拒絶するルリに、どうしたものかと考えていれば意味ありげに両腕を伸ばされる。


 ……これはあれだろうか、抱えて欲しいというアピールなのだろうか。


 「……トウヤ」


 上目遣いで名前を呼んできてるのでそうなのだろう。どうやら自分で歩くのも億劫らしい。


 しかし、酒に酔った少女を抱えて宿にとなると……なるほど、イケナイ臭いしかしない。

 いや、兄妹なら平気なはず。黒髪黒目が珍しいのもあって、俺達はどうも兄妹に見られやすいようだし、そこまで変な目で見られることは無いだろう。


 「その子の要望通り、抱えていってもいいんじゃないかい?」

 「……そうですね」


 テレシアさんからも言われ、俺は頷く。このまま居座らせても店側に迷惑だろうし、幸い、先程も言ったように俺達は兄妹と見られやすい。変な誤解は招きにくいだろう。

 ……そもそもこの見た目の少女なら誤解を招くこともないか? むしろ俺がそう考えることこそ危ないのでは?


 兎にも角にも、俺はルリに背を向ける。流石に正面から抱えるのは難度が高いので背負うことにしたのだが、ルリ的にはどちらでも良かった様子。特に文句なく俺の背に乗ってきた。


 「……ん、ありがと」


 軽く俺の肩に腕を回して、もう完全に俺に体を預けてきている。


 酒、とは言ってもワイン。酒臭いという程ではないが、この見た目の少女が酔っているのは異常な感じがして少し宜しくない。

 いや、精神的な意味で。別に少女が酔っているのが悪いという意味ではなく。


 そして俺の事をぎゅうっと抱きしめるのも、反射的なものなのか。兎にも角にも満足そうかつ酔っている本人に何か言うことも出来ず、普通のレストランのように会計をして外へと出る。


 ルリを背負いながらな。


 無論、テレシアさんとは別だ。俺たち二人の料金より彼女一人の方が高いのは……やめておこう。金銭感覚はやはり大事だな。


 外はすっかり暗くなっている。時間は七時か八時頃だろうか。


 「それじゃあ私はここで。今日は……というよりは食事か、楽しかったよ」

 「こちらこそありがとうございました。また会う機会があれば、その時はよろしくお願いします」


 短いやり取り。テレシアさんはそう言って、軽い足取りで俺たちの向かう方向とは逆の方に歩き去っていった。

 なんというか、サラッとしている。いや、たまたま同席しただけの縁であるし、むしろこんなものだろう。


 美人と少しは会話が出来た。それが今日一番の成果かもしれないなと苦笑気味に考えつつ、少し体勢を整える。


 「さて、と。俺達も宿に帰るか」

 「……ん。帰る」


 酔っているとはいえ、寝ていたり意識が朦朧としているわけじゃないらしい。ただ素直さが100パーセント出ているというか、いつにも増して可愛らしく思えた。

 

 ……いかんな、酔っている相手にこれ以上変な思考をめぐらせるのはやめておこう。ただでさえ俺には前科がある。


 慎重にならなければならない。


 ルリを背負って宿へと向かった俺は、無事誰に呼び止められることも無く部屋と帰ることが出来た。



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 本当はね、酔いがあるならお色気イベントも入れようかと思ったのですが、眠くて変な感じの思考になっていたこと、時間がその時点で23時を過ぎていたことなどから断念しました。


 まぁお色気はまた後でもいいでしょう。

 そもそも小説家になろうとそれ以外とで分けて書かなきゃいけないので、明らかに時間不足ですし( ̄▽ ̄;)


 次回は明後日辺り。最近はこの予定通りの投稿が出来なくて申し訳ないです。

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