男の勲章

翌日の朝10時半頃であった。


たつろうさんの実家の大広間に17歳の男性従業員さんとご家族(両親と兄嫁の)3人と社長さん夫婦がいて、話し合いをしていた。


しゅうちゃんが近所じゅうにつげぐちしまくったことが原因で、従業員さんがひとりやめる危機におちいった。


男性従業員さんのご家族は『家族の気持ちが変わったから印刷工場をやめます。』と社長さん夫婦に一方的に言うたあと、口をつむじ曲げにしてひねくれた。


それを聞いた社長さんの奥さまがおたついた声で言うた。


「あの~、どんなお気持ちになられているのかよくわかりませんけど、どう言う理由があってやめるのかが分からないのです。」


社長さんの奥さまが言うた言葉に対して、従業員さんの兄嫁は、なまいきな口調でハンロンした。


「やめる理由はあるわよ!!義弟(従業員さん)が高校に行くことができる環境が整ったのでやめるのよ!!人の話を聞いてよ!!」

「(泣きそうな声で)聞いてるわよぅ~」

「ほんならジュリしてよ!!」

「(泣きそうな声で)ジュリするわよぅ~だけどね…」

「だけどもクソもないわよ!!ジュリしてと言うたらジュリしてよ!!」

「(ますます泣きそうな声で)するわよぅ~」

「はよしてよ!!」

「(ますます泣きそうな声で)ジュリするけど、その前にもう一度私たちと話し合いをして、それから決めた方が…」

「せやけん、なんで話し合いをせなアカンねん!?」

「(泣きそうな声で)だから、(従業員さん)くんがどんな不満を抱えているのかを聞きたい…」

「はぐいたらしいわね!!そんなもん聞いてあんたらはどないしたいねん!?」

「(泣きそうな声で)だから、(従業員さん)くんの不満や不安を取りので除いてあげるといよんのよ…」

「きれいごとばかり言うな!!飼い殺し魔!!」


兄嫁が『飼い殺し魔!!』と怒鳴ったので、社長さんはザメザメ泣きながら言うた。


「ひどい…あんまりだ…飼い殺し魔だなんてあんまりだわ(ザメザメ)」


兄嫁は、ザメザメ泣いている社長さんに対してボロクソに言いまくった。


「はぐいたらしいわね!!ザメザメ社長!!従業員さんたちを押さえ付けるだけ押さえ付けといてなんじゃあいよんかしら!!」

「(ザメザメ泣きながら)なんでそないにボロクソいわれなアカンねん…(従業員さん)くんが気持ちよく働くことができる環境を整えたのに…」

「やかましいだまれ!!飼い殺し魔!!名誉市民賞に選ばれたけん、鼻がテングになってはるわよ!!」

「ひどい…あんまりだ…」

「やかましい!!義弟から高校に行く機会を奪っておいてまだいいわけならべてはるのね!!もう怒ったわよ!!今から実力行使に出るわよ!!」


このあと、家族は実力行使に出た。


家族は、激しい力で従業員さんを連れ出した。


その間に、アパートの部屋から身の回り品が運び出された。


それから30分後のことであった。


地区の出口へ歩いて向かう一行を、社長さんがたちふさいで止めた。


「待ってくれぇ~」

「なにしよんであんたは!!どいてよ!!」

「人手不足で困っているんだよぉ~」

「どけや女々しい飼い殺し魔!!」

「ワシが困っているのだよぅ…やめないでくれ~」

「はぐいたらしいわね!!」


(ドカッ)


兄嫁は、社長さんを両手で突き飛ばして倒したあとパンプスで社長さんの頭を踏みつけた。


「いたいいたい…」

「よくもうちらの行く手をはばんだわね!!」


その間に、両親が従業員さんを連れて駅へ向かった。


兄嫁は、パンプスの先で社長さんをけとばしたあとその場から立ち去ろうとした。


社長さんは、兄嫁の右足をつかんで抵抗した。


「なにすんねん飼い殺し魔!!」


(ドカッ!!)


兄嫁は、パンプスの片方で頭を殴りつけたあとその場から立ち去ろうとした。


なおも社長さんが抵抗したので、ブチ切れた兄嫁は近くにある肥だめに社長さんを突き落とした。


(ドボーン!!)


兄嫁は、肥だめにおちた社長さんにあかんべぇをしてその場から立ち去った。


肥だめにおちた社長さんは、わらいながらこう言うた。


「(笑いながら)やっぱり、ワシには会社経営に向いてへんかった…ああ、クセー…」


社長さんは、このあとも痛い目に遭うことばかりがつづく…

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