六本木純情派

話しは、イワマツのメンバーたちがイスタンブールに滞在していた時であった。


日本は夜10時過ぎだったと思う。


ところ変わって、観音寺市の中心部にある繁華街にて…


ナイトクラブの看板の灯りとネオンが灯る通りに、若い人たちがたくさん歩いている。


通りのスピーカーから荻野目洋子さんの歌で『六本木純情派』が流れている。


そんな中でゴタゴタが発生した。


ディスコクラブが入っているテナントビルの前でゴタゴタが発生した。


「ふざけんなよコラ!!ここはピンサロじゃねえんだよ!!」

「すみません~」


てつろうが店の前で店長にボコボコにいて回されていた。


そこへ、通りかかったけんちゃんが止めに入った。


「オイコラ!!オンドレはこななことしよったらどないなるのかわかっとんか!?」

「なんやオドレは!!ワイにゴロ(けんか)ふっかける気か!?」

「ゴロふっかけたんはオンドレやろが!!」

「なんやとコラ!!」

「いてまわしたろか!!」


けんちゃんは、ディスコクラブの店長と乱闘さわぎを起こした。


その間に、てつろうは繁華街から逃げ出した。


(カンカンカンカンカン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)


ところ変わって、JR観音寺駅の近くにあるバス乗り場にて…


駅のプラットホームに下りの駅止まりの1両電車が入る。


バス乗り場のベンチに、けんちゃんとてつろうが座っていた。


けんちゃんは、近くのローソンでこうた沢の鶴の1・5合のワンカップをそっと差し出した。


「てつろうさん。」

「おおきに…」


ワンカップを受け取ったてつろうは、ふたをあけてごくごくと酒をのんだ。


ひと間隔おいて、てつろうは今の気持ちをけんちゃんに伝えた。


「オレ、よく考えたら研究したいことがないのに大学院へ行ったけん失敗したと思とる…長兄(おにい)夫婦がオレが卒業したら尾鷲の市役所に就職できるようにおぜんだてしたと言うたけん…オレ、勢い余って『研究したいことがあるから大学院へ行くから…』と言うて断った…なんでこななアホなことしたんかいのぉ~」


泣きそうな表情を浮かべているてつろうに対して、けんちゃんはこう言うた。


「ほな、なんで市役所に就職せなんだん?」

「Uターン就職がいやだから断った…それだけのことや!!」

「そないに、生まれ故郷で働くのがいやなんで?」

「(いばり声で)イヤにきまっとるやないかぇ!!Uターン就職と言うたら市役所かJAJFか銀行か郵便局しかねえのだよ!!」

「ほな、生まれ故郷の尾鷲にいなんかったらええやん…」

「ああ、そのつもりだ…」


残りの酒を全部のみほしたてつろうは、シミジミとした声で言うた。


「オレ、妻とリコンした…妻と相性があわなんだ…こななことになるのであれば、妻と出会うんじゃなかった…なんでぇ…なんでぇ…」


グチグチ言うたてつろうは、頭を抱えて泣き出した。


けんちゃんは、なにも言わずに酒をのんだ。


先ほど、てつろうがディスコクラブでゴタゴタに巻き込まれたことについては、てつろうが客引きのニイチャンに捕まってノコノコと入って行ったことによるトラブルであると言うことにしとこわい(めんどくさい…ブツブツ…)

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