第88話 第五階層 『賢者の闘争』
第四階層をクリアできて喜ぶ俺だったが、続くシステム音を聞き、その気持ちがさらに強まることになった。
『【死獣の宝玉】をクリアしたため、ボーナス報酬が与えられます』
ん?
「ボーナス報酬?」
俺の目の前に、回復薬らしきものが1つ現れる。
これがボーナス報酬なのだろうか。さっそく鑑定を使用してみる。
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【
・これを飲むことによって、HPとMPが全回復する。
・クールタイム:2時間
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その結果に、俺は目を疑った。
「HPとMPを全回復!?」
思わずそう叫んでしまうほどに。
しかし、それも仕方ないことだろう。
通常の回復薬はHPを1000、MPを500といったように、一定量を回復させるもの。
ごくまれに、ダンジョン報酬などでHPの○○%を回復するポーションが与えられることもあるらしいが、それでも最大で50%程度だったはずだ。
それを踏まえて考えれば、HPとMPを全回復してくれるポーションの凄さがよく分かるはずだ。
説明を見るにレベル制限もないようだし、高レベル冒険者は喉から手が出るほど欲するに違いない。
売り出せば1000万はくだらないだろう。
「まあ、売るつもりはないけどな。ソロの俺にとってポーションは生命線。できれば自分で持っていたいからな」
なんにせよ、ここでこのような報酬がもらえたのは御の字だ。
満を持して現れた隔絶の魔塔のくせに、ここまでの報酬がかなり渋いと内心不満を抱いていたところだしな。
もしかしたらこの報酬がもらえたのは、かなりの高難易度に設定されていたであろうクエストを攻略したからなのかもしれない。
ダンジョン内転移を使用して一瞬でクリアしてしまったから少々罪悪感を抱いてしま……わない。心から喜んでやる。
「じゃ、少し休憩したら第五階層に行くか!」
思わぬ報酬で上がったモチベーションのまま、俺は次の階層へ挑むことにした。
第五階層に辿り着いた俺にシステム音が告げたクエスト名は【
それを聞いた俺は、これまでのクエストとは一転、体力ではなく知恵を試される内容であると推測した。
この天才的頭脳が火を噴く時が来てしまったのかと、内心わくわくしたものだ。
しかし、そんな俺の目の前に現れたのは1体の巨大な魔物――
というかゴリラだった。
どこからどう見ても間違いなく。
鑑定を使用してみると、【
やっぱゴリラじゃねえか。
ちなみに討伐推奨レベルは1万。これまで戦ってきたどの魔物より強力だった。
武器を使わず素手で倒したら追加報酬が与えられるとシステム音が教えてくれたので、とりあえずそうしてみることにした。
パワフルゴリラは筋力と俊敏性に優れた、かなりの強敵だった。
この身に浴びた攻撃は一度や二度じゃない。
ただ、それ以上に俺の殴打が相手に的中していた。
俺が優位に立ち回れた理由としては、やはりスキルの存在が大きいのだろう。
3500SPを使用して疾風をLV6からLV7に上げたことも影響していると思う。
それに加え、ダメージを受けた時には回復薬を用いたりもした。
武器は禁止されても、それ以外のアイテムが禁止されたわけじゃないという条件を最大限に利用したわけだ。
最初はなんて野蛮なクエストなんだと思ったものの、拳を交わし合っているうちに、俺とパワフルゴリラは不思議な世界を共有した。
お互いにこれだけの力を手に入れるため、どれだけの修練が必要だったのか、自然と伝わり合ったのだ。
それを理解した瞬間、俺とパワフルゴリラの心は通じ合った。
まあ最後にはぶっ殺したが。
そもそもパワフルゴリラはシステム音が作り出した魔物っぽいから鍛えてもいなかった。
雰囲気に呑み込まれるって、ああいうことを言うんだなと思った。
『経験値獲得 レベルが189アップしました』
『第五階層 クエスト【賢者の闘争】をクリアしました』
『第五階層攻略報酬 レベルが250アップしました』
『ボーナス報酬 称号【賢者を超えし者】が与えられます』
そんなこんなで俺は第五階層を突破し、ボーナス報酬として【賢者を超えし者】という称号を手に入れた。
そしてこの辺りから、レベルアップ効率は加速していくのだった。
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天音 凛 19歳 男 レベル:7830
称号:ダンジョン踏破者(10/10)・無名の剣豪・終焉を齎す者(ERROR)・賢者を超えし者
SP:3610
HP:43790/61580 MP:12600/16720
攻撃力:14310
耐久力:11520
速 度:14500
知 性:13790
精神力:11300
幸 運:12880
スキル:ダンジョン内転移LV18・身体強化LV10・剛力LV10・金剛力LV7・高速移動LV10・疾風LV7・初級魔法LV3・浄化魔法LV1・魔力回復LV2・魔力上昇LV5・索敵LV4・隠密LV4・状態異常耐性LV4・鑑定LV1・アイテムボックスLV4・隠蔽LV1
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賢者を超えし者
・クエスト【賢者の闘争】を特定の条件でクリアした者に与えられる称号。
・武器を持たない状態での戦闘時、攻撃力、耐久力、速度の各項目を+30%。
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『【隔絶の魔塔】内、合計レベルアップ数:1226レベル』(第五階層終了時点)
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