第12話 帰路
その後、俺は男たちの身柄をダンジョン管理人に引き渡した。
由衣の証言や、男たちが自身の行いを認めていたこともあり、引き渡し自体はあっさり済んだ。
軽く事情聴取されたくらいだ。
男たちへの処罰については冒険者協会の管轄となる。
ダンジョン管理人いわく、ダンジョン内での行いと、ダンジョン外で俺たちを処分して事実を隠蔽しようとしたことから、かなり重い処罰が下されるだろうとのことだった。
そんなこんなで、俺と由衣はすぐに開放してもらえたのだが、俺にとっての問題はその後に待ち受けていた。
少々目立ち過ぎてしまったため、これ以上ダンジョンに挑むのが難しくなったのだ。
今日はまだ4周しかできていないが、素直に帰るのが一番だと判断した。
夢見ダンジョンの最寄り駅に辿り着いたタイミングで、由衣は深く頭を下げる。
「凛さん、今日は色々と助けて下さり、本当にありがとうございました。凛さんがいなければ、どうなっていたか分かりません」
「今度からはしっかりと前準備してからダンジョンに挑め。パーティー選択についても、ダンジョン情報の事前調査についてもな」
「はい、そうします……」
今回の件について、自分にもある程度の落ち度はあったと理解しているのだろう。
由衣は気恥ずかしそうに肩を落としていた。
しかし、それも一瞬のことで。
「あっ、そうです! 凛さん、よかったら連絡先を教えてもらえませんか?」
「連絡先?」
「はい! 前々から、頼れる冒険者の知り合いがほしいなって思っていて……あ、あとあと、今回の件についても、また改めてお礼がしたいので!」
「そういうことなら」
スマホを取り出し、お互いの連絡先を交換する。
すると、由衣は自分のスマホを両手で大事そうに握り締め、満面の笑みを浮かべる。
「えへへ、ありがとうございます、凛さん!」
「――――」
なんだろう。
こう、女性から屈託のない笑みを向けられたのはかなり久しぶりだ。
胸がドクンと高鳴るのも許してほしいところである。
そんな風に考えていると、駅のホームに電車がやってくる。
帰り道は逆方向なため、ここで解散だ。
「あっ、電車が来ましたね。それじゃ凛さん、また今後です!」
「ああ、またな」
別れの挨拶を交わし、俺は帰路についた。
「298レベルはキリが悪いな……よし!」
その途中、紫音ダンジョンに寄った俺は2周して、レベルを300まで上げるのだった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
天音 凛 19歳 男 レベル:300
SP:510
HP:2550/2550 MP:450/450
攻撃力:620
耐久力:460
速 度:580
知 性:460
精神力:340
幸 運:540
スキル:ダンジョン内転移LV10・身体強化LV10・高速移動LV3・初級魔法LV3・鑑定LV1・アイテムボックスLV1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます