スイカズラ
世界がまだ暗闇に閉ざされていたころ、美しい双子の姉妹がおりました。ひとりは銀の髪で、青い瞳の中に無数の光の粒を湛えておりました。ひとりは金の髪で、橙の瞳の中にすべてを照らす強い光を仕舞っておりました。
ふたりは暗闇の世界でただ二つの、光を放つ存在でした。小さなときから仲が良く、どこへ行くにも一緒でした。お互いの指を絡ませあい、決して闇の中で離れないように。
しかし、成長するにつれ、お互いの放つ光を、眩しすぎると感じるようになりました。二人とも自分の光は感じられなかったのですが、相手の光はよく分かったのです。銀髪は橙の光に心を焼かれ、金髪は無数の光に心を吸われ、もう離れるしかありませんでした。
二人は泣きながら指を解き、互いの光が全く感じられない、遠くへと向かいました。そのとき銀髪が流した涙は星の川になり、金髪が流した涙は陽光の粒子になりました。暗闇の世界にそれらが満ち、人々はようやく互いの姿を認め合えるようになりました。しかし、二人はまだまだ離れなくてはなりません。
やがて、もう充分と思われるほどに遠くへと辿り着いた二人は、同時に移動をやめました。そして、かつて自分たちがいた暗闇の世界は、自分たちの光によって照らされていることに気がつきました。
二人は今でもお互いを想っています。少しずつ移動しながら、いつかまた会える日が来ることを願っているのです。
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