ネコヤナギ
ルームメイトが猫に似ている。
大きくぱっちりした目は少し釣り気味だけど、表情豊かで可愛らしくて、くるくるとよく動く。休日は陽の当たるところで丸くなって寝ているし、興味のないものには見向きもしないところが、ますます猫っぽい。そういえば彼女、お風呂が嫌いだとも言っていた。猫が大好きで、実家の猫に会えなかった時期には軽いロスすら経験した私にとって、彼女のようなルームメイトは理想的としか言えない。だから、私はつい、彼女を構いすぎてしまう。
「あんた、しつこい。あたしはあんたの猫じゃないんだよ」
そんな言葉で頬を打たれた。でも、猫のパンチはむしろ嬉しいくらいだ。ニコニコしている私を彼女は逆に気持ち悪がって、翌日には、嫌そうな顔をしながらも謝罪を申し出てくれた。拒絶すら喜ばれるのでは、どうしようもないと諦めたのだろう。
「ここに一緒に行ってくれたら、昨日の言葉を許してあげる」
「はあ?」
私が差し出したアミューズメントパークのチケットを見て、怪訝そうだった彼女の表情が緩んだ。
「ま、まあ……そこなら、行ってあげないこともないけど」
私は心の中で、有名なネズミのマスコットキャラクターに感謝を捧げた。
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