ヒマラヤユキノシタ
小学生のころ、学校からの連絡帳には「とても忍耐強い子です」と書いてあった。両親がそれを見て喜んだから、忍耐強いのは良いことなんだと思った。
それから、嫌なことがあっても耐えるのが癖になった。嫌なことに耐えていれば、誰かが褒めてくれるんだと信じた。人から悪口を言われても言い返さずに耐え、理不尽な叱責を受けても耐え、どう考えても割りに合わない報酬しか貰えなくても耐えた。自分の失敗ではないことを自分のせいにされ、成果は根こそぎ奪われ、名誉を踏みつけにされても耐えた。
正直、もうこれ以上は耐えられないと思った。
だから、私に残された耐久ゲージの残り僅かな一片は、ここから飛び降りる恐怖に使うことにした。大丈夫だ、あんな酷い仕打ちにも耐えた私なら、このくらいの恐怖、大したことはない。
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