ウィンターコスモス
六度目の整形をした。今回は鼻筋を整え、前回弄った目蓋を少々切り貼りして一重に戻し、唇をまたも少し膨らませた。それに合わせてウルフスタイルだった髪型も、ベリーショートに変えた。彼女が今朝つまらなそうに指先でつまんだ、清潔感のあるスーツも捨てた。
彼女は、流行の化粧品を数度使って捨ててしまう。目に入った可愛い服も、一度袖を通しただけでクローゼットに放り込む。だから当然、おれのこともひと月で投げ出した。
「ごめんね、あたし飽きっぽくて。あなたの顔、もう飽きちゃった」
おれは彼女無しでは生きていけなかったから、顔を変えた。彼女がその頃入れ込んでいた芸能人に似た顔に変えて戻ると、とても喜んで、また愛してくれるようになった。それが二ヶ月続いて、二度目の整形。三ヶ月後に三度目、また一月後に四度目……、と、そろそろ一年が経つだろうか。その度ごとにおれは顔を変え、髪型を変え、服装を変え、口調を変え、性格を変え、嗜好を変えてきた。それは彼女のためでもあるが、それ以上に、おれのためだ。彼女に愛されるためなら、おれはどんな姿にもなる。
「やだ! 今回のあなた、凄く良いじゃない」
帰宅するなり、彼女は破顔した。気に入ってもらえたらしい。彼女はおれの顔を撫で回しながら、うっとりと呟く。
「変わる度に愛し直せるから、あたし、あなたのこと好きなんだ」
さあ、今回は何ヶ月、愛してもらえるのだろうか。
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