第31話 熊本④

 俺達は恐らく次の9層が最終階層であるとは理解したが、☆7ボスの登場する可能性が高いために、一度ミコの知識レベルがⅦへ成長するまで、保留する事にした。


 このダンジョンのダンジョンマスターに成り、安定した資源の獲得を行いたいためだ。


 そして現在8層の隠し部屋の中で全員が揃い、ギャリオンの各部位を取り出して、検証を行う事にした。


 俺は、頭部は発見してすぐに装着してみたので、次に見つけた右腕ライトアームを装着しようとして、ライトアーム装着フィットと念じた。


 しかし、アラートが出て阻まれた。

『このパーツを装着するためには、他のパーツのオーナーである事を放棄しなければなりません』


「あ…… 一人一か所しか装着出来ないし、どうやら最初に装着した時点でその人間が、オーナー認定されるみたいだな」

「えーそうなんですね。私達も一つずつ装着しても良いですか? 私羽が良いです」


「チョ、愛美さん。何勝手に決めてるんですか? 愛美さん普通に飛べるんだから、この羽は私が使いたいです」


 結局、部位パーツの種類は希望を聞いていたら、収まりがつきそうにないので、あみだくじを作ってそれぞれの担当ポジションを決める事にした。


頭 勇気

右腕 里香

左腕

右足 香奈

左足 愛美

胴体 美里

翼 ミコ


 にそれぞれ決定した。

「よしじゃぁそれぞれ装着フィッティングしてみてくれ」


 と俺が声を掛け、装着した。

 どう見ても、装着したと言うよりは、吸収されてしまった感じで、その場にそれぞれのパーツが転がるだけだったが……


「勇気、わらわは装着できぬようじゃ」

「マジか、じゃぁ後2人仲間を増やさないと駄目だな」


「勇気のハーレム化計画が着々と進行してるよね」

「ハーレムって、俺は別に誰にも手を出したりしてないだろ?」


「皮つきの股間はよく丸出しにしてるけどね」

「愛美…… そのうち成長するからそこに触れるな」


「勇気君、私が協力してあげても良いよ?」

「ああ、里香ちゃん何抜け駆け発言してるのよ。勇気君の成長はみんなで見守るんだからね」


「美里さん、別に見守らなくていいから…… て言うか、この状態からどうしたらいいんだろ?」


そう思いながら、頭に合体コンバインという言葉を浮かべてみると、美里さんが声を上げた。

「あ、頭部からコンバイン要求って表示されたわ。許可するね」


すると、俺が装着しているヘッドが美里さんの胴体ボディに向けて、一直線に飛び、『シャッキーン』と言う音と共に合体した。


「おお、すげぇ。みんなコンバインってイメージしてくれ」


 その言葉で、それぞれが『合体コンバイン』をイメージすると次々と美里さんのボディに合体して行った。

 だがまだ今の状態ではロボが横たわっているだけだ。


 俺が、起き上がりたいな、と思うと『ギャリオンヘッドより命令受諾。システム起動します。現在合体状況71.42%。パフォーマンス効率Bランク』


 と訳の分からない説明と共に、瞳に光が差したのが分かる。

 俺が立ち上がる事をイメージすると、全長3m程のギャリオン零式が立ち上がった。


「みんな、意識とかははっきりしてるのか?」

「「「うん」」」


「見える光景とかそれぞれが動かせる範囲とかあるの?」


 美里さんが、代表して答えた。

「恐らくだけど、見える範囲は勇気君と共有されてるわね。私がイメージできる動作は、ボディから発射できる、2発のミサイル発射と、合体と解除だけだよ」

「って事は合体だけならそれぞれが意識しなくても、美里さんが呼べるって事?」


「みたいだね、さっきは私に許可の可否の連絡が来たから、私が要請すると逆にみんなの方に許可の可否ログが出るんじゃないのかな?」

「やって見よう。美里さん解除を意識して」


 そう伝えると、美里さんが解除リリースを意識したみたいで、別にログが現れる事も無く、元のバラバラ状態に戻った。


「美里さんコンバインをイメージして」


 今度は美里さんが解りやすく「コンバイン」と声を出すと、俺の脳裏に『ボディからコンバイン要求Y/N』と表示された。


「みんなイエスを選択してみて」

と伝えたが、それを伝えるのとほぼ同時に、主の居ない左腕と翼が、美里さんのボディに合体された。

「おお!!!すげぇ、美里さんは全部のパーツを呼び寄せる事が出来るんだな。それで翼と左腕って使えそうなの?」



「勇気君、私に出来るのは合体の指示と、ミサイル発射だけみたいだよ。動かす事は出来ないね。恐らく全体を動かせるのは頭部だけなんじゃ無いかな? そこがコントローラーになってると思うよ」

「みんな、自分の意思で何が出来るか確認してくれ。それが終ったらそれぞれ『リリース』を意識してみて。」

「「「はーい」」」


 みんなが確認を終えてリリースを要請すると、美里さんにリリース可否のダイアログが現れる様だった。


 元の様にバラバラ状態に戻ると、それぞれのパーツとの装着をキャンセルして元の姿に戻った。


「俺はギャリオンが動く事をイメージできたけど、マスターの居ない翼と左腕を動かす事はイメージできなかった。みんなはどうだった?」

「私は右腕を動かす事はイメージできたけど、勇気君の命令が優先されるみたいだったよ、手のひらからビームサーベルみたいなのが出せるみたい」


「私は、左足を動かす事は出来るねキックとか、でも走ったり歩いたりは、香奈さんと歩調合せないと、絶対転げちゃうし勇気に任せた方が良いと思うな。後は攻撃手段は膝から熱線が出せるみたいだよ」

「あの、私も基本は愛美さんと同じですけど、攻撃手段は足元をドリルで掘れるみたいなのと、膝からは氷の槍が出せるみたいです」


「俺の頭部は全体の制御は出来るけど、攻撃手段は頭突きくらいしか無いのが残念だな。各パーツの武器を俺が直接発射するのは出来ないみたいだ。動きの制御だけだな。残す2つのパーツのオーナーを決めたら結構強力な戦力かもな? 人型だしドラゴンや、ウルフの形態より戦う事がイメージしやすいしね」


「ねぇねぇ、美里さん聞いても良いですか?」

「ん? 何?」


「2発のミサイルって、まさかと思うけど、胸から発射ですか?」

「何で分かったの?」


「メチャエロい感じじゃ無いですか?」

「私の鍛え上げられた身体にエロいとこなんてないよ?」


「ロケットおっぱいってAVとかエロ雑誌のグラビアに書いてありそうな感じですよね」

「ロケットじゃ無くてミサイルだから関係無いの香奈ちゃん。てか香奈ちゃんAVとか見るの?」


「特養のお爺ちゃん達が部屋でよく見てて、何か私にも無理やり見せたがってたから」

「普通にセクハラじゃない?」


「うーん。そうなんだけど、なんだか駄目って言うのもかわいそうだから。私に触ってきたりするんじゃ無ければ、我慢してました」

「そうなんだ…… 介護も大変なんだね」


「まぁそれはいいから、一回外に出るぞ。ミコの知識レベルをあと一つ上げるのが目的だから、このまま博多に向かうぞ」

「「「はーい」」」

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