第18話 松江④

「愛美先輩、パーティ機能的な物を有効にするには、俺が統率スキルを発動するのでそれに対して服従を示してください」

「解ったよ。えーとね、勇気君。先輩って言うの止めてくれないかな? 愛美って呼び捨てで頼むよ」


「解りました。それなら愛美も勇気って呼び捨てでお願いしますね」

「良いよ勇気」


「何だか、ラブコメみたいな会話されると、激しくジェラっちゃうんですけど」

「里香は何も言わなくても勝手に呼び捨てだったじゃん」


「勇気が先だったでしょ?」

「ねぇ、勇気と里香は付き合ってるの?」


「え、えーと、はっきりそう言う会話は無かったですけど、私はもう勇気にずっと付いてくつもりです」

「じゃぁまだ私にも十分にチャンスあるんだね」


 そう言って愛美はバニーの尻尾の付いたお尻を俺の目の前で揺らした。

 ヤバイ、めちゃツボってる……


「愛美さん色仕掛け禁止です。大体そんなどぎつい角度のハイレグ衣装で下着ってつけてるんですか?」

「この衣装は胸はブラトップになってるし、Vゾーンはちょっと厳しかったから、パンティーライナーだけ付けてるよ」


「じゃぁ下着は全くつけて無いんですか?」

「まぁそうだね」


「おい、そんな会話聞かさないでくれ、俺だって普通に健康な男子なんだから興奮するじゃねぇかよ」

「あら、勇気君だったら良いよ?」


「愛美さん、それは駄目です。せめて私の後にして下さい」

「冗談だよ、私は本当にみんなを守りたいの。勇気がさっきあの馬男たちやっつけてくれて、本当に久しぶりにスカッとしたよ。私も出来る限り強くなりたいからよろしくね」


 冗談なんだ…… てか、里香も満々なのか?

 ちょっと凄い残念な気もするが、取り敢えずはダンジョン進めないとな。


「ちょっと、まじめモードな話だけどさ、数でクリアしようと思ったら3人だし300匹倒してやっと次のステップになるから、狩で数を稼ぐよりもどんどん進めて、ラストアタックで直接その格に進化させる方が早いと思うんだよね」

「ああ、確かにそうだね。私でもオリハルコンウルフだし最終階層までは何とかなるよね?」


「俺がとどめを刺さない程度に弱らせるから、ラストアタックは愛美が攻撃してね」

「解ったよ」


 そんな感じで、2層で一角うさぎに進化すると、ドリル頭突きを覚えた。

 うさ耳お姉さんの額に、50㎝程の角が生えちゃってちょっとびっくりした。


「え? やだこれちょっと、困るんだけど……」


 愛美が激しく角の生えた額を嫌がったけど、どうにかできるのか?


 でも結局、その後でユニコーンを倒して、ドリル頭突きを浄化に入れ替えたら、角がぽろっと取れて愛美も安心してた。


 一応、数値では現れて無いけど、能力的には進化した状態だと思う……


 能力値を数値で見れるようにしたいとマジで思うな。


 取れた角は武器として使えると解ったから、短槍として愛美が使う事になった。

 金属製の武器では傷つけられない、ユニコーンの皮膚なんかも問題無く突き刺せるから、結構優秀な武器だと思う。


 3層に進むと、ウサギと馬系統は出現せずに、バーサクブルと混乱鹿と言う敵が出現したが、大したスキルも無かったので、急ぎで通り抜けた。

 この階層には隠し部屋も無かった。


 それでもドロップの状況は、ウルフダンジョンよりも良い気がする。

 結構な数の魔石と、ポーション類を手に入れた。


 4層に降りると、ミノタウロス☆4と、イナバニー☆3と言う組み合わせだった。

 ミノタウロスからは物理防御と槍斧術Ⅲ、イナバニーからは敏捷強化Ⅲとエレメントキックと言うスキルが手に入った。


 敏捷強化Ⅲ 敏捷能力が30%アップ

 エレメントキック キックを繰り出すごとにランダム属性の蹴撃が飛ばせる。


 愛美は、イナバニーのスキルはそのまま上乗せになり結構な強化につながった。

 そしてこの階層には隠し部屋が有ったので、里香が開けて入ると部屋全体が落とし穴になっていて、俺達は随分下まで落とされた。


「おいみんな大丈夫か?」

「うん…… 何とか大丈夫みたい」


 里香と愛美は若干擦り傷が有ったので、ポーションを渡して回復をさせた。

 俺と、ミコは流石に無傷だったけどな。


「隠し部屋の外からは、敵の有無しかわからないのじゃ。ただ……」


「ただ? どうした」

「今回みたいに敵の気配がなかったなら、逆に罠があると思った方が間違いないのじゃ」


「落ちる前に言って欲しかったな」

「言う前に、入って行ったのじゃ」


「ねぇ勇気前見て」

 里香の言葉に前を見ると、巨大な2足歩行の象が前方に居るのが見えた。


「あ、どうやら最終層まで落とされちゃったようだな。これは俺達じゃ無かったら間違いなく全滅パターンだな。まぁ今更言ってもしょうがない、最大化するぞ」

「了解なのじゃ」


 俺とミコはそれぞれ最大サイズまで、大きくなると恐らくこのダンジョンのボスと思える相手に対峙した。


「里香、悪いが愛美を守るのに集中してくれ」

「OK」


「あんなのどうやって戦うんですか?」

「まぁ見てなって」


鑑定


ガネーシャ☆☆☆☆☆☆


飛行

身体強化Ⅵ

クリエイトウオーター

ウオータージェット

豪雨

ハリケーン


 水と風の使い手だな。

 ☆6だし俺はこのガネーシャの能力だと特別欲しい物も無かったので、里香か愛美が能力を身に付ければいいと思って、指示を出した。

「俺が凍り付かせるから、攻撃を叩き込め運よくラストアタック取れれば飛行能力が手に入るぞ」

「飛行! 超欲しい」


 里香はめっちゃやる気になった。

 実際ミコも里香の従魔だから、ミコが倒しても里香にLAが行くので、愛美はチョット分が悪いかな?


 そう思いながら、アブソリュート0を発動させ、ガネーシャを氷付かせて足を破壊した後は、3人の攻撃を傍観していた。


 ミコは雷Ⅴで攻撃し、愛美もエレメントキックを連発してる。

 バニーのハイレグスタイルの脚の付け根に、目が釘付けになるな。


 里香も爪に風を纏わせて攻撃してたが、風属性には耐性があるようで、攻撃を物理に切り替えていた。

 ガネーシャが動き始めたので、俺が再びアブソリュート0を発動すると、そのタイミングに合わせて、愛美さんが飛び上がった。


 手には一角うさぎ産のドリルの様な、槍が握られており、額にあった第3の目に突き刺した。

 それが致命傷になったようで、ガネーシャは光に変わり、愛美に吸い込まれていった。


「愛美凄いじゃん」

「あ、愛美さんに負けちゃいました……」

「何か弱点っぽい気がしたから、やって見たら成功しました!」


『ダンジョンの踏破が確認されました』

『初めてのダンジョン踏破ボーナス。転移スキルを獲得しました』

『このダンジョンは10秒後に消滅します』


 そして10秒後に俺達はダンジョンのあった場所の地上に立っていた。

 2層の隠し部屋で待ってもらっていた、他のうさ耳先輩達も、地上に戻されていた。

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