第7話 広島⑤
俺は当面の目標を広島ダンジョンを潰す事に定めた。
スマホでナビを映し出し、ニュースでやっていたダンジョンの出来た場所を指示させると、この位置からで1㎞程進んだ場所だった。
「里香、ダンジョンに向かうぞ。取り敢えずはとにかく倒しまくりながら、存在の格を上げていくしか、この世界で生き残っていく事は出来ないだろうから、頑張って敵を倒せよ」
「解ったよ」
俺はドラゴンへとトランスフォームして、里香を従えダンジョンまでの道を進む。
道路上に居るウルフは、ブレスで薙ぎ払いながら進んだ。
上空を、自衛隊なのか米軍なのかは判断がつかないヘリが飛んでいるのを見かけたが、救出活動でもしているんだろうか?
そう言えば最初のデパートで屋上に逃がした人たちは無事に避難できたのかな?
「里香、歩きながらで構わないから、食べれる物食べておけよ?」
「うん、コンビニにあったサンドイッチ食べてるから大丈夫。ねぇ勇気のスキルの収納って時間経過は有りなの?」
「まだ試して無いが、ラノベ展開なら無しにして置いて欲しいよな」
「だよね、今後追加で食料生産が困難な事を思うと、今のまだ腐る前の状態で勇気が手に入れる事の出来る食料が、人類全体の生命線になる可能性だってあるわけだし」
「里香、まじめだな」
「だって倒したモンスター別にドロップとか残さないから、ラノベみたいにお肉手に入れたり出来ないじゃん」
「そうだな、里香みたいに敵を倒して
ダンジョンに近づいて来ると、少しブラックウルフの割合が上がった気がする。
これはそろそろ来るか?
『トランスフォーム、ブラックウルフ☆☆☆がレッドウルフ☆☆☆☆に種族進化しました』
「お、来たか。ほぼ間違いないけど100倍ずつ条件が上がるみたいだな。次はグレーウルフだけを相手にしてたら100万匹と思うと、無理ゲーだな」
「ねぇ勇気次の段階になれたの? 何が出来るようになるの?」
「見てみる」
レッドウルフ☆☆☆☆
夜目
遠吠え
統率
身体強化Ⅱ
豪爪
「身体強化のランクが上がって、豪爪って言うのが使えるみたいだな。ちょっと一度トランスフォームしてみる」
「ドラゴン以外にもなれるんだ。チートだね」
「トランスフォーム。レッドウルフ」
そこに現れたのは燃えるような赤い毛皮を纏った3m程の体長の狼だった。
前足の爪は鋭い刃物のようにも見え、伸ばす事を意識してみると30㎝程の長さにもなる。
「カッコイイ」
「里香、惚れたのか?」
「それとは違うと思うけど、パンティ被って無いし、許容範囲かも」
「まぁ取り敢えず、この姿で行けるとこまで行って見るか、ドラゴンの姿だと1時間で元に戻るから、いざって時に使えるように温存しておきたいからな」
「条件とかあるんだ」
「そうみたいだが、詳しくは俺も解らん」
「ダンジョンまで辿り着いたよ。入る?」
「えーとな、一応念には念を入れて、再びドラゴンに変身できるような状態になってから入ろうと思う。それまでは近所のスーパーやコンビニの在庫荒らししながらウルフを狩ろう」
「解ったよ」
それから1時間程狩りをしたが、里香の進化はまだ訪れない。
近隣のスーパーやコンビニで必要そうなものは一通り、収納している。
「俺、もうショッピングモールを開業できるくらい色々在庫持ってるな」
「ねぇなんでも放り込んで取り出す時って解るの?」
「入ってる物なら、イメージすれば出せる」
「そうなんだ。便利だね」
「よし、ドラゴンに変化も出来る状態になったから行くぞ」
「うん」
レッドウルフの姿は想像以上に強いが、これはドラゴンのステータスも上乗せしてるからなのかな?
そして俺達はダンジョンの中に突入した。
一層目では、地上と変わらないなグレーウルフが殆どで、たまにブラックウルフが出て来るが、全て俺の爪で切り裂ける。
里香も手刀でグレーウルフの首をへし折る。
だが、地上と違う状況もあった。
「なんだこれ?」
「えと、ドロップ?」
「ほうダンジョンの内部で倒せば、ドロップもあるのか。それなら何とかなるな。今の俺達は回復手段とか持ってなかったからな」
「そうだね。そのドロップは何なの?」
俺が鑑定をして、確認するとポーションと表示された。
『ポーション』外傷の治療が出来る。
「怪我は直せるみたいだ。里香ちょっと次からブラックウルフとも戦ってみろ」
「うん」
里香がブラックウルフと戦うと、やはりほぼ能力的に同程度みたいで噛み傷なんかを付けられたが、何とか倒せた。
「頑張ったな。ポーション飲んでみてくれ」
「飲まなきゃダメなの?かけるとかじゃなくて?」
「まだ一本しか無いから、実験は難しいから飲んだ方が良いと思うぞ」
「解ったよ」
そう言ってポーションを腰に手を当てて一気飲みすると、今の戦いで付いた噛み傷などが、消えて行った。
「良かったな。傷物にならなくて。だがその姿はちょっとヤバいな。強姦された後のような状態だぞ。色々見えてるし」
「あ。ねぇ服出してよ下着とかも一式」
「どんなのがいいんだ?」
「本当はスエットみたいなのが良いけど、ズボン系は尻尾が出せないからファスナーの付いたスカートがいいかな。下着もパンティは後ろがOバックの開いたのがいいかも。ちょっと尻尾の付け根のとこが引っかかってたから」
「ほら着替えろ」
「ねぇ、これ勇気の趣味で出した? セーラー服の制服って」
「俺はセーラー服派なんだ。女子高校生の夏服のカラーのラインは紺色の3本ラインがいい」
「まぁ別にいいけど。ちょっと着替える間こっち見ないでね」
「ああ」
ダンジョンの中だから里香が着替えてる間にも当然次々ウルフ達は襲って来るから、俺は倒し続けていた。
「あー進化した」
里香の声がしたので振り返ると、まだ素っ裸の状態の里香が立っていた。
「何で見るのよ」
「お前が声を上げるからだ」
だが、里香は髪の毛の色が赤っぽく染まって尻尾も赤くなっていた。
先端だけは白い。
瞬間的に隠されたが、脚の付け根にも赤く縮れた物が見えた気がする。
「里香、意外にでかいな」
「馬鹿、死ね」
「早く着ないからだ」
「破れて張り付いてたのか剥がすのが大変だったんだって。良いよ着替え終わった」
「爪出せるか?」
『シャキン』とちょっと金属っぽい音がして爪と言うよりは指がそのまま硬質化した武器の様になって伸びていた。
「強そうだな」
「うん。なんか力が湧き上がってくる感じも全然違うよ」
里香の2度目の進化も終えて、俺達は先を急ぐ事にした。
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