第101話 エルフの隠れ里
「精霊が1人もいなくなるとは………。私が村長になって初めての事だ。何があったのだろう?」
村長は屋敷を出ると里の中心部にある世界樹へと向かった。
この隠れ里の世界樹はまだ若木だ。他のエルフの里から分かれる時に持って来た苗木から里のと一緒に育ってきた。
その世界樹の若木に精霊ドリアードが宿っている。この村にの守り神………。
ところが、守り神と思っているのはエルフだけで、精霊やドリアード本人はそう思っていない。エルフ達は精霊に使える従者の認識なのだ。
「ドリアード様。精霊達がいなくなったのですが、何があったのでしょうか?」
「ふむ、どうやら………、森に外部のドリアードが立ち寄り、エルフの男と風の精霊が粗相をして怒らせてしまったようだな」
「な、なんと! お怒りを鎮めねばなりませんね」
「うむ、この森の精霊達も彼女を怖がって隠れてしまったようだ」
「ドリアード様、流れのドリアード様のお怒りを鎮めていただくよう、お話をしていただけませんか?」
「む、我より上位の存在のようだ。我がお願いしても聞き届けてくれるか分からぬぞ」
「そ、そうですか………。しかし、相手が高位の精霊ドリアード様であればエルフの言う事は聞いていただけるとは思えません。お話だけでもどうか、お願い致します」
「風が精霊も原因の一つのようですし、仕方ありませんね。話すだけですよ」
「有難うございます」
そう言ってドリアードはソウタ達の元に行こうとしたが………。
「ひぃ、ダメよ。ダメダメ! ダメなのよ」
ドリアードはガタガタと震えて怯えだした。
「何がありました?」
「す、全てを斬り裂く者も一緒に怒ってこちらに向かって来る! 彼奴は何人も止められん。敵は全て斬り殺されるのだ、ひゃああああ、ひん、おかあさああああん!」
ドリアードは泣きながら慌てて世界樹の中に逃げ隠れた。
「全てを斬り裂く者!」
村長は困り果てて立ち竦むことしか出来なかった。
「クロリス! 敵はどっちにいる?」
サイコは怒りを隠す事が出来ず怒鳴り声をだす。
「あちらだな。ちょっと待て」
クロリスが何やら呪文を唱えて指を指すと、指をさした方角の地面が揺れて、木々が動き真っ直ぐな道が出来た。
「付いてきて」
クロリスはソウタを抱っこしながら宙を飛び木々が分かれて出来た道を進んだ。
(ひゃ、俺、お姫様抱っこされてるし)
「ピィ」
ブルがその後に続き、
「おう!」
「許しませんよ!」
サイコとジュネ足早にクロリスを追う。
(許さないキュ)
リャンゾウが走る。
その後に続くブリュンヌ、モモカ、ナナミ。
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