第98話 道中
次の国に行く途中。道端に薬草を見つけて採取に励むソウタとナナミ。
盗賊のモモカと青い鳥のブルは先行して警戒している。
「おいおい、また草を集めるのかい!」
護衛を自認しているのサイコがうんざり口調でソウタに言う。
ソウタからつかず離れずの位置で一緒に歩くサイコは、ソウタが採取している間はそれが終わるまで待ってなくちゃならないのだ。
「俺達は採取士だからね、草を採取するのが仕事なんだよ」
「お兄ちゃん! その薬草で作った回復薬で私は元気になったんだからね。文句言わないでで手伝ったらどう?」
「いやぁ、ジュネに言われても草刈りはいやだなー」
「全く、お兄ちゃんたら………。あ、ソウタ様、この薬草は根を残してナイフで切って良いのですよね?」
ジュネは真面目に採取を覚えようとしていた。
ソウタとナナミは丁寧にジュネに採取の仕方を教えながら進んでいるのだ。
「あ〜あ、こんなんじゃ次の村にいつ着くか分かんねえぞ」
「お兄ちゃんは狩りでもしてきたら? ソウタ様の護衛は私で充分よ」
(俺もいるキュ)
雷獣のリャンゾウが辺りを走り回り、虫などを捕獲して食べたりしている。
「私もいるよー」
ドリアードのクロリスはのんびりだ。
「俺もいるし」
ブリュンヌも採取は苦手なようで、黙って見ているだけだ。
「いや、何があるか分からんからなぁ、ジュネも守らなきゃいけないし」
(コイツらに任せて大丈夫か?)
訝しげに見回すサイコ。
「大丈夫、大丈夫。美味しいお肉を取って来てねー」
ジュネはサイコを道端から林の方に、両手で押しだした。
サイコは仕方なく狩りに行く事にした。
「やっぱり俺も狩りに行くぞ」
ブリュンヌはサイコの後を追って林に入る。
(やっぱりブリュンヌも飽きていたか)
そんな二人を見た後ソウタは採取に戻った。
薬草の採取を終え野営地についたソウタ一行は昼食にする事をとした。
「随分沢山狩ってきたな」
「ああ、マジックバッグって良いな。獲物が無駄にならない。いつもは大半は捨てて、運べる量しか狩れなかったからなぁ」
ソウタの問いに答えながらサイコはマジックバッグから狩って来た獲物を出していく。
「ま、まだあるのか?」
「おうよ」
「こんなに解体出来るの?」
「ん〜、狩り過ぎたか………」
「俺も解体するよ」
「私も手伝う」
ブリュンヌとモモカが解体を手伝う事となり、ブルとリャンゾウは警戒に行く事にした。
ナナミは採取した薬草で回復薬を作成し、ソウタが昼食を作る。
「私も手伝います。料理を教えて下さい」
ジュネがソウタを手伝う。
「で? この女は何をするんだ」
サイコが解体しながらクロリスを指差す。
「♪」
クロリスはニコニコして座っているだけだ。
「クロリスは何もしないよ。彼女は精霊だからね。必要なときにお願いするけど、普段は自由なんだ」
料理をしながらソウタが答える。
「ふ〜ん」
サイコは納得はしてないが、まあ、良いかと言う仕草をして解体に集中した。
「♪」
クロリスはニコニコしながらみんなを見ている。
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