第8話 ルナさんですよね?
俺はすぐにルナJrをベッドに横にして軽く揺すってみた。
「ルナさん、大丈夫ですか? ルナさん・・」
「・・うぅ・・う~ん・・」
ホッ、意識がないのかと思った。
本当に寝ているだけだったんだ。
良かった。
「ルナさん、大丈夫ですか?」
「おぉ、テツか。 すまんな、迷惑をかけて」
「いえ、そんなことはいいのです。 それよりも早速俺のエネルギーを吸ってもらって構わないですよ」
俺がそういうと、ルナが目を大きくして言う。
「ほ、本当か? 本当にいいのか?」
そう言われると、何か怪しい気がするけど・・仕方ないだろう。
「い、いいですよ」
直後、ルナJrがいきなり飛びついてきて、俺の口に吸いつく。
思いっきり濃いディープなキスをされた。
しかし、タダのキスではない。
俺の中から何かが抜けていく感じがある。
う・・やっぱ、ヤバいんじゃないのか、これって・・。
俺はそこまで思ったら、気絶したようだ。
どれくらい経過したのだろうか、俺は目を覚ました。
ベッドの上に寝転がっている。
ゆっくりと身体を起こして辺りを見渡す。
確か、ギルドマスターに案内されて部屋に来て・・。
あ、ルナさんに生命エネルギーを吸われたんだ。
?
ルナさんはどこだ?
俺っていったいどれくらい気を失っていたんだ?
いろんなことが頭に浮かぶがわからない。
部屋の奥からシャワーの音が聞こえる。
そっか、ルナさんがシャワーを浴びているんだ。
そういえば、ここに来てから身体をきれいにしてなかったな。
クリーンアップ!
俺の周りをほんのりと優しい光が包み、きれいになった。
魔法は問題なく使えるな。
なるほど、地球に属しているのは間違いなさそうだ。
しかし、変なところへ飛ばされたものだ。
・・・
う~ん・・深く考えても今の所はわからない。
まぁそれはいい。
だが、何か神殿っていうのがうさんくさい感じがする。
本当に光の巫女っていうのを探さなきゃいけないのかな?
俺がそんなことを考えていると、シャワールームのドアが開く音がする。
バスローブを頭から被った物体が近づいて来る。
「おぉテツ、気が付いたか」
ルナの声だ。
「はい、お蔭様でゆっくり寝れたようです」
俺は笑いながら返答。
「カッカッカ・・まぁ、そう言うな。 ワシもこれでもう補充は必要あるまい。 それほど良い生命エネルギーだったぞ。 やはりテツ、お前人間やめたのか?」
ルナが笑いながら言う。
「またそれですか、ルナさん。 俺は人間ですよ」
「そうか」
ルナがそう言いながら身体を拭いていたバスローブをパッと外し、布団へ投げる。
!!
俺は2重に驚いた。
ルナが真っ裸だ。
そして、チビだったルナが何と大きくなっている。
本体ほどではないが、若々しい。
出るところは出ている。
クビれているところはクビれている。
抜群のプロポーションだ。
俺の視線に気づいたいのか、ルナがニヤ~ッとして言う。
「なんだテツ、この身体が見たいのか? ん?」
そう言って俺に近づいて来る。
そりゃ見たいぞ。
「ほりゃ、そりゃ・・」
ルナがクネクネしながら自分の身体を見せてくる。
ゴン!
俺はルナの頭を殴る。
「あいた! お前なぁ、仮にも夜の王と呼ばれるワシの頭を殴るとは・・」
「ルナさん、あんたが悪い! さっきまで凛みたいだった子なんですよ。 俺にとっては自分の娘みたいに思ってましたよ、少し複雑ですが・・。 それがいきなり大きくなったからって、すぐに反応できるわけありません・・いや、そりゃ見たいのはみたいです。 でも、チラっと見るのがいいのです。 そんなことよりも、身体が大きくなってませんか?」
俺は落ち着いて来た。
ルナはブツブツ言いながら答える。
「あぁ、これか」
ルナはそう言うと、裸のままベッドに座り足を組む。
うん、その足を組んで見えそうで見えないのがいい・・って、そうじゃないだろ!
「ん? どうしたんだテツ?」
「い、いえ、何でもありません・・」
「まぁいい。 この身体だが、お前のエネルギーが良質だったのだ。 ワシも予想外でな。 これで新たな生命エネルギーはそれほど必要としないな。 だが、基礎エネルギーのような食事になるものは必要だがな」
ルナは言う。
「基礎エネルギー・・ですか?」
俺はぼんやりと聞く。
「うむ。 まぁ、普通に魔物などを倒したりして魔素の供給があれば問題ない」
「なるほど。 魔物などを討伐すればいいわけですね」
俺がそう答えると、ルナはうなずく。
しかし、いい目の保養になるな。
でも、なんか慣れてくる自分が怖い。
もったいない。
ルナがスッと立ち上がり、バスローブを
ルナの身体を覆う、黒くほんのりと光る服が出来上がっていた。
「ふむ、こんなものか」
ルナはそう言いながら身体を確認する。
えぇ~!
見えなくなったら急に見たくなってくるのですけど。
あの乳は凄く形が良かったのに。
お尻もキュッとヒップアップで・・はい、心の声です。
ルナが俺の方を見て微笑む。
「なんだテツ、そんなにワシの身体が良かったのか? お前なら好きにしていいぞ」
え?
マジですか・・って、何言ってんすかあんた?
こりゃ、俺の理性が吹っ飛ぶのが先か、地上へ帰れるのが先か、わからなくなる。
俺はかなり焦ってしまった。
「ル、ルナさん。 変な冗談はやめてください」
「冗談ではないのだがな・・まぁいいか」
いいんですかぁぁ!!
俺は両手で頬をパンパンと叩いて、前を見る。
ルナが不思議そうな顔をしている。
「よし! ルナさん、早速活動しますか?」
俺がそう言うと、ルナが微笑みながらうなずく。
この人、全部わかっててわざとやってるな。
俺はそう思いつつも、光の巫女の情報を手に入れようと考えていた。
その前に、ルナに話しておこう。
「ルナさん、一つ聞きたいのですが、あの神殿の連中ってなんかうさん臭くないですか?」
「そう思うか。 ワシもチビだったので、冷静さを欠いていたが信用できそうにはないな」
「ルナさんもそう思いますか」
「うむ。 むしろあの連中こそが光の巫女をどこかに幽閉しているのかもしれん。 そして、ワシらを遠ざけているのかもな」
「俺たちを遠ざける?」
「まぁ、まだわからんがな・・」
ルナがつぶやく。
そうか・・何かあるのだろうな。
だが、俺たちはまだまだ何も知らない。
とにかく動いているうちに何かわかってくるだろう。
俺も軽くうなずくと、ルナに言ってみた。
「で、ルナさん。 これからどうするつもりですか?」
「テツはどうしたいのだ?」
「全く、わかりません」
俺が肩をすくめて見せると、ルナが言う。
「ワシもわからんが、この街にダンジョンがあるというではないか。 まずはそこを攻略して、ワシらがダンジョンの管理者になればいい。 そうすればワシの魔素供給も問題なくなる」
「ダ、ダンジョンの管理者ですか?」
「うむ。 今管理している奴を倒せば引き継げるはずだ」
「そ、そうだったのですか?」
俺は驚いた。
管理者を倒すのか・・そう思ってルナを見る。
無理だな。
こんなヴァンパイアを倒せる奴などいるわけがない。
俺の目線に気づいたのか、ルナが聞く。
「そんなことも知らなかったのか。 それよりもお前、今変なことを考えていないか?」
俺はドキッとした。
「い、いえ・・さっきのルナさんの姿がとてもきれいで・・」
俺はとっさにそんな言葉を口にした。
ルナが右手の人差し指を立てて俺のおでこから顔を撫でる。
「テツ、お前はかわいいのぉ」
などと、笑いながら言う。
こ、怖いんですけど・・マジで。
「さて、では早速行くか」
ルナはそう言ってゆっくりと歩き出す。
俺も一緒に後をついて行った。
ルナに生命エネルギーを吸われて、どれくらい気絶していたのかと思ったが、30分ほどだったようだ。
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