第14話 自衛隊特殊部隊の帰還


 ある日の首相官邸。そこに首相、副首相、内閣官房長官の3人が揃っている。


首相「まずは無事に戻ってくれてありがとう。分かっていると思うが、この件も、ここでの会話も、すべて極秘だ。外部への漏えいは厳罰に処罰する」


 政府がマサノリに依頼して、あの世界に送った自衛隊特殊部隊のエリート4人がここにいる。彼らは簡単な報告をしたうえで、またあの世界に戻って経験を積んでいくという。


隊員「もちろんです。マスターに誓って、そんなことはありえません」


首相「マスターというのはあの、マサノリ君のことだよね。彼の強さってどの程度のものかな」


長官「仮にあの男を、言い方は悪いが排除しようとした場合、現実的に可能だと思うか?」


隊員「まず無理でしょう。報復も相当なものになると思われますので、検討すらすべきではないかと」


副首相「なぜそう断言できる」


隊員「まず銃では勝てません。マスターにとって新型の20式小銃でも、ダンゴムシが歩いてくる程度のスピードだそうです。これは実際に実験済みで、10m先からの射撃でもすべて回避されました。


隊員「格闘術においても、100人がかりでも歯が立ちません。恐らく軽い殺気を浴びただけで、全員が気絶します」


隊員「さらに危険を察知しても、0.001秒で地球の裏側まで移動できますので、爆弾や、核兵器であっても効果はありません。そもそもマスターの防御を突破できる有効兵器はないかと思います」


隊員「毒などの薬物に対する感覚や耐性も常識を超えています。現時点では協力体制を確保し、国外に流出するのを絶対に避けるべきです」


総理「それほどか… まぁ何もしないがね」


長官「あっちの世界から何か持ち帰れるのか?」


隊員「マスターによって物の移動が制限されており、不可能です。隠し持っていても筒抜けですのでどうしようもありません。それに、事前のルールで持ち出しは厳禁ですので、それを破った時のリスクもかなりのものになるでしょう」


長官「ちなみにどんな資源があるのか?」


隊員「食料や工芸品に特筆すべきものはありませんが、あの世界にしかない石の価値は絶大でしょう。見た目は宝石と岩石の間のようなものですが、様々な効果、例えば体力回復や怪我の治療、動物除けや灯りにもなりますし、その石を使った飛空艇や船もあります」


長官「なんと。乗り物のエネルギーにもなるのか!」


隊員「研究すればさらに色々なことが分かるでしょう。科学という点では地球がはるかに進んでいますので、相乗効果はかなりのものになるかと思います」


副首相「そのあたりは今後の交渉で、輸入できるかどうかだな。資源はどれくらいあるのか?」


隊員「どの家庭でも日常的に使用しているもので、山を掘れば出るといっていました。山は至る所にありますし、ざっとみて標高1万m級も少なくありません。星のサイズは地球とほぼ同じくらいとみていますので、そのすべての山にあると仮定すれば、相当な数かと」


副首相「石油やガスに替わり、二酸化炭素を出さず、有害物質でもない新たな資源となれば、地球のエネルギー事情が一変する。それを海外に輸出できれば、日本の経済は、100年は安泰だろうな」


首相「今後の予定はどうなっている?」


隊員「マスターがいないと移動できませんので、マスターのスケジュールに合わせます。それまではこちらで待機しています。移動後はレベル上げのために、山に入ります」


長官「あの男以外のメンバーに会ったことはあるか?」


隊員「日本へ戻る前を含め、向こうの代表を務めている女性と何度か」


首相「その人も、やっぱり特別なのか?」


隊員「ゴッジーラが100体同時に日本を襲うと想像してください」


長官「どういう意味だ?」


隊員「それができると言われました」


三人「…」


隊員「魔力の一部を軽く見せられた時に、3秒以内に死ぬと確信したほどです」


三人「…」



「女性陣からのアプローチ」へつづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る