第11話 快進撃

 次の日、俺たちは4人で鳥の森ダンジョンへ入った。


 最初はぎこちなかった連携も次第に噛み合い、8層を突破すると息の合った連携をとれるようになっていた。


「はい、お疲れさん。このペースなら今日中に10層いけるね」


「ビックリだわ。こんなペースで攻略できるなんて。王女が4人パーティーにこだわったのもわかるわ」


「でもサトルさんは一人で10層までクリアしたんですよね。わざわざパーティーを組まなくても良かったんじゃないかと思ってしまいますが…」


 珍しく僧侶がしゃべった。確かにこのダンジョンの20層くらいまでならソロでもいけるだろう。しかし今後を考えると、レベル50クラスの相手が揃ったこの先のダンジョンでソロは自殺行為だ。


 しかもこの世界はゲームじゃない。死んだらゲームオーバーでリセットができるわけではないから。


「そんなことはない。今はいいかもしれないが、先を考えればソロで全ダンジョンのクリアは不可能だ。


 今から信頼できるパーティーを組んで連携を高め、みんなで力を合わせるのが最もリスクがなくベストなんだ。だからみんなとパーティーを組むのは絶対に必要なんだよ」


 そう説明すると僧侶は嬉しそうに「良かったです」とつぶやいた。


「ここまで進んできたので、みんなのスキルについて確認したいと思う。ただ、スキルすべてを話したがらない人もいるだろうから、話せる範囲だけでもいいぞ」


 ソーマジック・サーガにあるすべてのスキルが、この世界で使えるのかはわからない。しかし仮に使えるとすれば、中には公にしない方がいいスキルもある。


 俺は魔法戦士だから、レベルが近くても他のジョブのスキル状態が良くわからない。だから連携を考えるなら、可能な限り把握しておくのがベストなんだが…


「まずは俺から。魔法戦士として、回復・完全回復・火球砲弾・探索の4つが使える。ただ探索はまだ下級レベルで制限があり、このダンジョンすべてはカバーできない。


 火球砲弾も魔法使いと比較すれば威力も半分以下だろうが、剣に付与することで使える幅が広がる。


 回復は軽い怪我と疲労の回復、完全回復は怪我や病気を完全に回復するが、魔力の消費が多くて1日に2回が限界。しかも毒や麻痺などの異常は回復できない。そこは僧侶のスキルに期待したいところだ」


 魔法剣士は剣・攻撃魔法・治療魔法・補助魔法などにバランスがよい反面、どれも突出していない。そのバランスをうまく使って、他の専門職をサポートする意味合いが強い。


 しかしソーマジック・サーガでの俺は、経験(やりこみ)と知識によって、一介の魔法剣士の枠を超えた実力があると自負していた。


「俺は戦士。スキルは基本的に攻撃主体。まだレベル10になっていないから2つだけ。会心撃と攻撃力上昇だ。


 会心撃は相手の弱点を突く技、1日2回の制限があるのと、使用後に2秒動きが止まるクールタイムがある。だから強敵相手に使いどころを間違えると反撃に対応できないからリスクもある。まぁ最後の切り札だな。


 攻撃力上昇は使用魔力がそのまま10分間攻撃力に転換されるが、今のレベルだと1.4倍がやっとだな」


 戦士は単体相手なら最も攻撃力を有した技を使える職業。ただしリスクは高く、先頭に立って戦えるメンタルも必要になる。


「魔法使いの私は火と水の魔法スキルがあるわ。火球砲弾と水流連撃の2つね。レベル4では鳥の化け物には傷も付けられなかったけど」


 魔法使いは序盤は苦しいジョブだ。他の職業と違って初期スキルとして火球砲弾があるが、レベルが低いと威力も今一つ。


 しかしレベルが上がれば広範囲への全体攻撃と、相手の弱点を突いた魔法攻撃で高い効果がある。それに魔力も魔法戦士の倍以上になる。おそらレベル20になれば相当期待できるだろう。


「僧侶の私は回復と防御専門です。今使えるのは回復と守りの壁です。回復はまだレベルが低いので回復力は今一つですが、レベル10になれば…。


 守りの壁はパーティー全員の守備力を上げますが、この前の鳥の化け物相手には数分ももちませんでした」


 僧侶の回復は魔法戦士の回復とは性能が違う。疲労・怪我・状態異常など様々な回復をまとめて行える。そして一つ覚えればレベルに応じて能力が上がり、対象人数や範囲も広くなる優れもの。しかも消費魔力も少ないので便利だ。


 みんなそれぞれのスキルと性能について説明してくれた。ここまで話せるのは信頼の証だろう。ここまで把握できれば今後の戦いも楽になるはず。


 俺は一人納得しながら10階層の突破方法、そして20階層の突破を視野に入れていた。



「壁を超えるということ」へつづく

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