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chapter1.1 住民録(Et.13611)

Tips. 住民録①

　Et.13611

　記録者“セレネ”

　名前: 紫蘭 “読：シラン”

　年齢:23歳(推定)

　種族:深淵狗（ハウンダビス）(要調査)

　性別:女性(経産婦)

　体重:64kg(角を含む)

　身長:172cm

　Ｂ :90

　Ｗ :68

　Ｈ :88

　容姿:

　雪のような艶のある白髪と、藤の花を思わせる薄紫の瞳をした女性ね。長さはセミロング、髪を後ろ手で縛りポニーテールにして遊ばせている姿をよく見かけるわ。

　自宅ではルーズサイドテールで過ごす事が殆んどらしいの。

　白磁を思わせる肌で、耳がなくその部分には赤黒い捻れた角が生えているわね。顎のラインに沿いながら下方に伸びているため食事において邪魔になることがあるんですって。特に串焼きや骨付き肉等を食べる際に手こずっていた印象があったわ。

　本人曰く、接吻においては少し工夫しないと相手に角が刺さるらしくてこっちの方が気になるんですって。思ったよりも乙女な部分があるみたい。

　整った容姿で体毛も薄く色素が薄めね。細身ではあるのだけど女性にしては筋肉量が多く、うっすらと腹筋が割れていたわ。ちょっと羨ましいかも。

　本人曰く、化粧は殆ど行わず朝晩に行う井戸水での洗顔のみらしいの。けどこれは絶対嘘だと思うな、それだけであんなに綺麗な肌を保てるのは理解できないもの。

　服装:

　装飾過多な物や動きにくそうな衣服、特にベビードールやナイトドレス等に分類されるような物は無意識に避けているわね。似合いそうなんだけど、本人が強く避けているの。

　基本的にはアオザイに似た衣装か、厚手のプルオーバータイプのシャツにカーゴパンツといったセットアップを着ているわ。

　靴は特別な用事がない限り、獣の尻革で編んだ耐久性重視の手製のモカシンを履いているの。

　胸は基本的にサラシで固定しているらしく、実寸よりも小さく見えるわね。主に野外での肉体労働(畑仕事や山間での狩猟等)が多い為、このような格好を取っているんですって。

　完全オフの日には無地で裾の長いカシュクール・ワンピースを着たりもしているようね。滅多に着る事はないらしいのだけど、濃紺のクロスホルタータイプの背中が空いたドレスを所持しているわ。一度だけ着用した姿を見せて貰ったのだけど、その姿はとても綺麗だったわ。

　備考:

　Et.13611より二年ほど前に、娘共々この村の住民になったの。

　社交的なんだけど、誰に対しても一定の距離を保とうとするの。あまり自分の要求を伝えず、手元にあるものでやりくりをしちゃうみたい。

　編み物が好きな様で、よく毛糸や裁縫道具の注文をしているの。娘さんの衣類は基本的に紫蘭ちゃんのお手製らしく、そのクオリティは製品として文句ないわ。

　時折、私の写本と共に帽子やケープレット等を商会へ卸しているんだけど、出せば出しただけ売れるそうなの。

　強く感じる問題点として、自己肯定力の低さがあるわね。

　何か理不尽な目に遭っても私にも責任はありますから、と進んで罰を受けようとする姿勢がかなり目立つのよ。まだ身体的な自虐癖は無いみたいだけど、いずれ現れてもなんらおかしくないわ。みんなも、少し気にかけて欲しいかな。

　ただ、娘であるゆかりちゃんを侮辱するような言動、危害が及ぶ危険性がある場合においての彼女は苛烈よ。ゆかりちゃんを守るためなら何だってしてしまう、そんな気さえする程。あまりに直情過ぎる為、危うく感じる事が多々あるわ。冷静になれるように、此方でも促していく事を忘れないで欲しいの。

　繰り返しのお願いになっちゃうんだけど、村人の皆さんと同じ様に彼女も大切な村の住民です。特別扱いをするつもりはありません、しかし同じ村に住む仲間として温かく迎えて下さい。容姿こそ伝承の悪魔と似通っています、だけどそれだけなの。若いけれど、彼女はとても優しい心を持った立派なお母さんです。どうか、みんなで支えて上げてね。

　※家屋の割り当てについては本当に申し訳ないと思っているわ。言い訳にしかならないけど私も妹も村の長なの、村人の意見も聞かなければ軋轢を生んでしまう。この件の埋め合わせが出来る日を迎えられるよう、私達も引き続き努力するわ。

　※入村して間も無い時期に村の若い男に強姦された事件があります。どうやら加害者の男は彼女の娘を人質に性行為を強要したらしく、事後に4ヶ所の骨折と軽度の脳挫傷を負う結果となりました。 本件における処罰は三日間の自宅謹慎、加害者は満場一致で村外追放処分となりました。