第16話 獣道

  



ポカポカ陽気の朝 周りはみんな春気分


子狸が ぴょこぴょこ 


お山の階段 降りてくる


二匹の子狸 匂い嗅ぎ嗅ぎ階段降りてくる




母さん狸の声がする


「子狸よ 人目に付く明るい朝はダメ


出歩くのは 暗い夜


さぁ巣穴へ帰っておいで おねんねの時間だよ」




お山の爺さん狸の言うことにゃ



そこは我々の通る獣道を切断して


人間が 勝手に作った階段だよ





人間に近づくな ❣


初めは珍しがって「可愛い」などと言うけれど


飽きれば すぐに邪魔者なんだ


そして毛皮にされる 最初の あの笑顔に騙されるな





春はこんもり緑の春草 人の匂い気配がする


怖い人間が階段を上がってくる


犬はいないか 鉄砲は担いでないか







母さん狸、大慌て❣


さぁ早く早く 巣穴へ隠れろ 食事と散歩は暗い夜中だよ






あぁ~あ 昔はよかった




山の木の実や草原の虫 お山の食べ物いっぱい食べ


自然のおきてに従って生きてさえいればよかった


あぁ~あ 昔の暮らしが懐かしい・・・・・・・


爺さん狸の独り言








                     了

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