第94話 タンシチュー、カレー
「ユキコさん、大鍋からとてもいい匂いがしますね。新メニューですか?」
「女将さん、これってアンソンさんのお店のシチューですよね?」
「ボンタ君、よくわかったわね。アンソンさんのお店のシチューは作るのにとても手間がかかって難易度も高いから、シチューのルーだけ貰ったのよ」
「このシチューと、なにかを組み合わせるんですね」
「正解よ、ファリスさん」
「うわぁ、なにができるのかな? 新メニューだったら、お客さんに上手く勧められるようにちょっと試食したいかも」
「お店で新メニューとして出すのは難しいから、これは賄いよ。お店が終わったら楽しみにしてね」
「「「「「わーーーい」」」」
お昼。
仕込みのついでに、今日は特別な賄いを作っている。
アンソンさんのレストランで一番人気のシチューは、その日によってワイルドボア、ウォーターカウ、キルチキンなどの様々な部位を具材として用いており、これに、彼が腕を振るったオードブル、パン、サラダ、デザートのセットメニューが大人気となっていた。
日によって使われている魔獣やお肉の部位が違っており、その日の朝に、どの魔獣のどこの部位を用いるか、お店の前に掲げている黒板に書いてあって、常連さんはそれを確認するのが習わしとなっている。
分厚い脂がコッテリ感を出す、ワイルドボアのバラ肉。
逆に、赤身本来の美味しさを純粋に味わう、ウォーターカウのヒレ肉。
上品に食べるのは難しいけど、とても美味しいキルチキンの手羽先。
量が取れないので滅多に出ないけど、キルチキンのセセリ(首の筋肉)を用いたシチューの日は、すぐに売り切れてしまうほど。
そんなアンソンさんが作るシチューのルーを、今日はいただいた。
このシチューのルーに、なんのお肉を入れるのか?
『ニホン』は、新鮮なお肉でも内臓でもなんでもあるので、今夜お店で出すメニューの下ごしらえをしながら考えていたというわけ。
「やはり、シチューといえばアレかしら?」
「アレですか? そのアレとは、ユキコさんの故郷では定番なのでしょうか?」
「そうね」
あれは、まだ私が小さかった頃。
自ら狩猟をする関係で、食べるお肉はほぼジビエだったお祖父ちゃんだけど、たまに知り合いが経営するレストランに連れて行ってくれた。
そこで食べたタンシチューがとても美味しかったので、今日はタンシチューを作ろうと思う。
「うちには、タンは売るほどあるから。タンシチューはとても美味しいのよ」
「うちのお店、ワイルドボアとウォーターカウの串焼きタンが人気ですけど、シチューにも使うんですね。アンソンさんのレストランだと使わないですけど」
ボンタ君の言うとおりで、アンソンさんのレストランの客層を考えると、スジ肉を出汁を取るのに使うのが限界で、内臓肉を使うとランクが下がるみたいなイメージだからねぇ。
うちは客単価も低いし、美味しければなんでもいいスタンスだから気にしないけど、人間って案外保守的でそういうことを気にする人もいる。
アンソンさんのレストランの客単価を考えると、冒険はしない方がいいかなって。
「うちは、そういうのは気にしないスタンスなので」
下ごしらえはみんなに任せて、私はワイルドボアとウオーターカウのタンの皮を剥き始めた。
「タンの外側の皮は硬いから全部取って。でも、ぶ厚く皮を取ると身が減って勿体ないから、包丁の腕を磨かねば……。タン表面に見える白い部分や、根元にある骨も取り除きます」
勿体ないけど、タンは意外と可食部分が少ないのよね。
そういえばこの世界に飛ばされる前、海外で需要が増えたせいで、牛タンが値上がりしたってニュースでやっていたのを思い出したわ。
タンは美味しいからね。
「これを一口大に切り、フライパンで少量の脂と臭み消しの香辛料と共に炒めます。炒め終わったらタンは、シチューの大鍋に投入っと」
あとは、弱火でコトコト煮ていくだけ。
シチューはすでに完成しているから、あとはタンを柔らかく煮るだけよ。
「ユキコさん、大鍋は二つあるんですね」
「片方はワイルドボアのタンで、もう片方はウォーターカウのタンよ。味を比べてみましょう」
「美味しそうですね。これだけ沢山あったら数日は楽しめます」
タンシチューはお店のメニューではなく賄いだから、食べるのは私たちだけ。
だから何日かは保つはず。
そう思っていたんだけど、ファリスさんの発言はフラグだったのかしら?
まさか、あんなことになってしまうなんて……。
「ユキコ、俺が作ったシチューは美味しかったか? 俺の愛を感じただろう?」
「ええと、実はタンシチューに仕上げてまして、まだ試食していません。あっ、そうだ。シチュールーのお礼に少しお出ししますね」
「タン……舌かぁ。内臓はグリューネンのレバーパテや極一部の例外を除くと、レストランで出すと下品、なんて風潮があるからな。俺は嘆かわしいと思っているが、下手に出すと、『内臓なんて出して、俺をバカにしているのか?』なんて言い出す客もいて面倒で……。おおっ……」
「右の小鉢がワイルドボアのタンで、左の小鉢がウォーターカウのタンを使ったシチューですよ」
「これは……。焼くと歯応えがあるタンがトロトロになるまで煮込んであるが、ちゃんとタン独特の旨味も残っていて美味い! タンシチューがこんなに美味しいなんて!」
アンソンさんは、タンシチューの味を絶賛していた。
元のシチューは彼の作だから、不味いはずがないんだけどね。
「ユキコ女将、俺様にもくれないかな? 食べたくなってきたぜ」
「女将、ワシも欲しくなった」
「女将、俺もくれ」
「姐さん、俺も欲しいっす!」
アンソンさんだけに食べさせるのは不公平だし、ミルコさん、お爺さん、親分さん、テリー君も大切な常連さんなので、小さな小鉢に入れてタンシューをサービスする。
「これ、トロトロのタンが美味ぇ! シチューの味のよさは、さすがはアンソンってところか」
「グリューネンのレバーパテみたいに、アンソンの店の名物になりそうだがな。こんなに美味しければ、下品だと文句を言う客もおるまい」
「ご隠居がそう言うのなら、試しに出してみようかな」
「それがいいぞ。ランチで出してくれたら、俺も食べに行くぜ。なあ、テリー」
「親分たちの会合で出しても問題なさそうですけどね。普通の肉を使ったシチューよりも、癖になる美味しさっすね」
地球でタンシチューが有名なのには、ちゃんとした理由があったのね。
この世界でも無事に受け入れられたみたい。
「高級感を出す方法はあって、タンシチューの上に少量の生クリームをかけ、刻みパセリを振りかけると、さらに美味しくなりますよ」
この世界って、生クリームが高いから。
地球のビーフシチューのように生クリームを載せると、豪華な感じすると思うわ。
「ユキコはよく思いつくな、そういうの」
「私が考えたんじゃありませんよ」
「ユキコの故郷か……。料理の聖地なのかな?」
聖地ってよりは、美味しいものは躊躇わずに導入するし、すぐに改良を始める民族が住む土地かな。
「あれ? この前のボルシチとは違う料理かぁ。僕にも頂戴」
「女将、もし若になにかあると困るので、まずはこの私が毒見をしよう」
「デミアン、いくらなんでもそれは狡いだろう。みんな食べてるから大丈夫に決まってるじゃないか」
今日はちょっと遅れてきた殿下とデミアンさんにも、タンシチューは提供され。
「女将、俺たちにもくれ!」
「俺にも!」
「なにこれ、すげえ美味ぇ! 魔獣の舌って、煮込んでもこんなに美味しいんだな」
他の常連客たちにも出し続け、ようやく営業終了後。
従業員全員で賄いとして食べたら、思った以上に減ってしまったわね。
タンシチュー、人気あるわぁ。
「アンソンさんのシチュー、味付けが絶妙ですね。でも、タンを具材として用いることを前提にもう少し改良するって言っていました。料理人としては、僕はまだまだですよ。アンソンさんには及びません」
「アンソンさん、プロねぇ」
「ユキコさんも十分にプロですけどね」
でもね、ララちゃん。
私の料理って、まだ素人の域を出ていないと思うのよ。
「そうですね。ミルコお兄様が言っていましたが、アンソンさんが他人のアイデアを受け入れるなんて、これまで一度もなかったそうですよ。あの人は努力家ですけど頑固なので、基本的に全部自分で考えないと気が済まないそうで」
確かにアンソンさんって、腕はいいけど頑固なところあるものね。
「僕は、ウォーターカウのタンの方が美味しいと思います」
「私もウォーターカウのタンですね」
「私は、ワイルドボアのタンの方がいいですね
「ボクも、ワイルドボアタンの方が好みかな。ユキコさん、おかわり!」
「アイリスちゃんは沢山食べて大きくなってね(胸はほどほどで)」
大きくなっていいけど、私よりも胸は大きくならないで!
でも大丈夫!
私の胸もまだ成長するはずだから、そうしたらアイリスちゃんの胸も大きくなっていいのよ!
「この量だと、明日の夜に賄いで出したらなくなりそうね」
「ユキコさん、タンシチュー、また作りましょうよ」
「シチュールーは自分でも作れるんだけど、味はアンソンさんには負けるのよねぇ……。あっそうだ!」
別に、シチューじゃなくてもいいのよね。
その料理はまた後日に作るとして、翌日のお昼。
仕込みを始める前に昼食をとろうと思ったら、マリベルさんが姿を見せた。
いつもどおり、私が奢る果汁水が目当てなのかと思ったら……。
「女将さん、噂に聞いたのですが、昨日とても美味しい賄いが出たそうですね。私も是非食べてみたくて」
「はあ……」
この人、どこでタンシチューのお話を聞いたのかしら?
実はお客さんの中に、熱心な信者さんがいるのかな?
あっでも。
熱心な信者さんが、教会でシスターに酒場の賄いメニューの話はしないか。
「女将、お邪魔するよ。今日は色々と忙しくてね。まだお昼を食べていないんだよ。そんな時、マリベル君から実にいい話を聞いてね。この店に美味しい賄いがあると」
ほぼ時を置かずして、マクシミリアンさんも姿を現した。
彼は教会の副地区長さんだから偉い人なのに、いくら営業時間外とはいえ酒場に顔を出して問題ないのかしら?
本人はまったく気にしてなさそうだけど。
「美味しいかどうかはその人次第ですけど、賄いを食べますか?」
「すまないね、なんか催促したようで」
駄目ですっていう空気でもないので、やはりイケメンは得なのね。
私は、マルベルさんとマクシミリアンさんのタンシチューもよそって出した。
教会の人たちだけど、この世界では肉食禁止なんて戒律もないから全然問題ない。
続けて、パンナさんのお店のパンと、サラダと果汁水も出す。
ちゃんと栄養のバランスは取れているはずよ。
「なるほど。ハンターたちが、売れない魔獣の舌を野外で焼いて食べることがあるんだけど、皮を剥かないで適当に輪切りにするから、とても固くてね。元々この店の舌は、楽しめる硬さだからとてもいいと思っていたけど、柔らかくなるまで煮込んだ舌も素晴らしい味だ」
「マクシミリアンさん、このお店の串焼きを食べたことあるんですか?」
夜、彼がこのお店にやって来た記憶はないけど……。
「信者の人たちが、たまに串焼きを買ってきてくれるのさ。私たちは、営業中の酒場には入れないからね」
たまに串焼きをテイクアウトする人がいるけど、まさか教会に差し入れしていたなんて全然知らなかったわ。
教会に食料を寄付する信者さんは多いから、おかしくはないのか。
「女将さん、この料理、とても美味しいですね」
「よかったですね」
「私たち、普段は清貧を旨とする生活を送っているので、たまにしかこういうご馳走が食べられないんですよ」
マリベルさんとマクシミリアンさん、普段の食事は質素だったのね。
てっきり、裏ではご馳走を食べているものだとばかり……。
「孤児院を出た、有志のハンターたちが獲物を持って来てくれた時と、ここで飲む果汁水が数少ない楽しみなんです」
教会の実入りは少なくないけど、神官たちが贅沢をしていたら孤児たちを養えなくなってしまうし、教会の教義的にも、毎日ご馳走を食べるわけにはいかないようね。
なんか可哀想なので、マリベルさんの果汁水はこれからも私の奢りということにしましょう。
「ユキコさん、タンシチューですが随分と減りましたね。ミルコさんが、今夜も食べたいって言っていたんですけど……」
ララちゃんが、もう大鍋二つにはほとんどタンシチューが残っていないことを教えてくれた。
本当になくなるのが早いわね。
と思っていたら……。
「ユキコちゃん、うちの夫から聞いたんだけど、とっても美味しい賄いがあるんですって? 今日はお友達も連れてきたの。食べさせて」
「あっ、もう今夜の分はないですね。ミルコさん、怒りますかね?」
大奥さんとそのお友達のマダムたちに人数分のタンシチューをよそって出したララちゃんが、もう大鍋は空だと報告してきた。
予定の半分くらいしか保たなかったわね。
「ミルコさんは、大奥さんに苦情を言えないだろうから大丈夫よ」
「ユキコちゃん、わかってるじゃないの。これね。アンソンのお店で大人気のシチューで魔獣の舌を煮込んだものは。串焼きのような歯応えはないけど、柔らかくても舌だってわかるわね。美味しいわぁ」
「アンソンさんのレストランのシチューは食べたことあるけど、これは別の美味しさ……。むしろ、普通のお肉よりも美味しいわ」
「内臓だから下品だって、卑下するのは勿体ないわね」
「これ、アンソンさんのレストランで出してくれたらいいのに」
「みんなに気に入ってもらえてよかったわ。私がアンソンに、タンシチューも出せって言っておくから」
「あの、大奥さん。こちらの方々は?」
「気にしないで。私の茶飲み友達だから。魔獣の舌のシチューはとても美味しいから、下品なんて言われないわよ。アンソンも普段は強気だけど、いざという時に思いきりがないわね。そんなんでは、親分さんに負けてしまうわ」
アンソンさんが、親分さんに?
なにに負けるのかしら?
「とても美味しかったわ。ねえ、このあとは『ジャパン』でお茶でも飲みましょうよ」
「いいわね。私、あそこのフレーバーコーヒーが好きなの」
「厚焼き玉子サンドもいいわね」
「まだ食べるの? とは言いつつ私も。半分こしましょう」
「そうしましょう」
「私は、フルーツゼリーが食べたいわ。今日はどの味にしようかしら?」
「ユキコちゃん、とても美味しかったわ。じゃあまたね」
「はぁ……」
多分、大奥さんと似たような境遇のオバ様たちなのだと思うけど、タンシチューの大鍋を空にしてから、『ジャパン』で午後のお茶の時間を楽しむため、この場をあとにした。
私も大奥さんくらいの年になったら、ああやって同じく年を取ったララちゃん、ファリスさん、アイリスちゃんとランチタイムを楽しんだり、喫茶店巡りでもするのかしら?
「女将さん、大鍋で二つあったんですけどね」
「ワイルドボアとウォーターカウのタン。二種類あると、両方食べたくなるのが人情なんでしょう」
「それ、とてもわかります。次からは数が獲れないウォーターカウを一匹でも多く獲れるように、魔法で頑張りますね。舌がとても美味しいから」
ファリスさんは、結局両方のタンシチューが気に入ったみたいね。
そして夕方。
「ユキコ女将、もうタンシチューがないって? 俺様の計算だと、今夜も食べられる予定だったんだけど……」
「お昼に大奥さんがお友達とやって来たり、マリベルさんとマクシミリアンさんもタンシチューを食べて行ったから」
「鼻が利く連中ばかりで困るぜ。あっ、でも。アンソンがタンシチューをレストランで出すらしくって、ワイルドボアとウォーターカウとキルチキンのタンの注文が沢山入ったぜ。しかし、キルチキンのタン……。 ユキコ女将は出したことあるか?」
「いやあ……売れるほど量がないので……」
キルチキン自体がかなり貴重なのだから、その舌はもっと量が集まらない。
日本では鶏のタンもかなりの希少品で、出しているお店はとても少ないと聞いたわ。
「キルチキンのタンは、ある時にしか出さない特別メニューにするらしいけど。アンソンは料理人だから、そういうのに気が回るんだぜ」
「アンソンさん、今日は来てないですね」
「タンに合わせるシチューの味の微調整で忙しいんだぜ。あいつ、真面目だから」
その努力の甲斐もあってか、アンソンさんのレストランで出されたタンシチューは、すぐに人気メニューとなった。
ただお友達とタンシチューをタカリに来たように見えた大奥さんだけど、ちゃんと知人、友人周りに宣伝してくれたみたい。
アンソンさんのレストランには、商家の人たちと、下級ながら貴族もタンシチュー目当てに来店するようになったって聞いたわ。
むしろお肉のシチューよりもよく売れるそうで、でもあのシチューは本当に美味しいから当然よね。
タンに合わせて味の微調整をするとか、素人に毛が生えた程度の私には無理。
そこで……。
「今日は、タンを用いたカレーを作っています」
カレーなら、私でも問題なく作れるから。
確か仙台でも、牛タンを用いたカレーがあったはずよ。
「フライパンで、一口大に切ったタンを炒めて表面を焼いてから大鍋に投入します。続けて野菜と水を入れてよく煮込みますが、野菜はタンを目立たせるために少なめに。ここに、カレー粉と小麦粉を炒めて作ったルーを溶かしてさらに煮込んで……」
無事に、タンカレーが完成した。
カレーは香辛料の味と香りが強いから、シチューのように微細な味の調整をしなくても美味しいのがいいわね。
今日は『食料保存庫』にあるお米も炊いて、タンカレーライスにして食べましょう。
「ユキコさん、タンカレーも美味しいですね」
「女将さん、これなら新メニューにできそうですね」
「でもこれって、いわゆる締めの一品だから、酒場で出すってどうなのかしら?」
「アンソンさんのレストランで出すには、ちょっと味の刺激が強すぎますね」
「ファリスさん。でも、とっても美味しいよ」
昼食に出したタンカレーライスだけど、これもとっても好評だった。
元々カレーライスは美味しいのに、ここによく煮込んだタンが入っていて美味しくないわけがないわ。
「女将さん、いい匂いですね」
「女将、実は今日もまだ昼飯を食べていないのだが……。この食欲を誘う香りに引き寄せられてしまったよ」
「ユキコちゃん、今日もなにか食べさせて」
タンカレーの話は一切していないのに、マリベルさん、マクシミリアさん、大奥さんに嗅ぎつけられてしまったようね。
そして夜も……。
「ユキコ女将、タンシチューに似た美味しい料理があるって、お祖母様から聞いたんだぜ。俺様も欲しい」
「ワシもミランダから話を聞いての。シチューとはまた違うらしいが、大いに興味があるの」
「ユキコ、俺も気になるぜ! お店で出す新メニューのヒントになるかもしれないからな」
「女将、少し味見させてくれないか?」
「姐さん、俺も欲しいっす!」
「どんな料理だろうね? デミアン」
「若、 少しは自分の安全にご注意ください。いつ若の身を害しようとする者たちが、食べる物に毒を入れるかもしれないのですから。まずは私が毒見を……」
「デミアン、もうその言い訳は通用しないと思うよ」
予想はできたけど、常連さんたちにタンカレーライスを出すことになってしまい、せっかく大鍋に沢山作ったのだけど、あっと言うまになくなってしまったわ。
みんな喜んでくれたからいいけど、たとえ世界は違っても、美味しいものは共通なんだって理解できたわ。
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