第2話 目覚めて初めて見たものは?

「こつん、こつん。」

 何かが気を失い倒れている葉月の頭を突いている。

「・・・・・・う・・・・・・うう。」

 葉月は目を覚ました。

「こつん、こつん、コン! コン! コン! つん! つく! つん!」

 更に何かが葉月の頭を激しく突く。

「痛い!? 痛いじゃないの!? 何するのよ!?」

 起き上がる葉月。そこで見たものは?

「ニワトリ?」

「コケコッコー!」

 目の前には鶏がいた。

「なぜ!? 鶏が!? ・・・・・・。」

 疑問を抱いて葉月は言葉を失った。

「ごめん。もう一回、寝るわ。」

 そして葉月は二度寝した。

「こつん。こつん。」

 そして再び葉月の頭を突くニワトリ。

「zzz、zzz。」

 何も見なかったことにしたい葉月は狸寝入りを決め込む。

「こつん、こつん、コンコンコンコン!」

 スローで突いても起きないので、激しく突くことにしたニワトリ。

「痛い!? やめろ!? 頭に穴が開くでしょう!?」

 突かれる痛さに耐えきれなくなった葉月は目覚めた。

「コケコッコー!」

 葉月に朝が来た。得意げに鳴くニワトリ。

「それにしても、ここはどこ?」

 周りを見渡しても見覚えのない中世ヨーロッパ風の世界ではなく、古文的な日本の世界だった。

「それに私は葉月。あなたは誰?」

「コケー!」

 ニワトリに話しかける葉月。

「どこからどう見てもニワトリよね!?」

「コケー!」

 だってニワトリだもの。

「おまえの名前がないと呼ぶときに大変よね。なんていう名前にしようかしら?」

 葉月はニワトリの名前を考え始める。

「コケー! って鳴くから、コケコケ! ・・・・・・インパクトに欠けるわね。」

 16才の女子高生といえば、妙な所が気になるお年頃。

「お腹も空いてきたし、何か食べたいな・・・・・・。」

 葉月はお腹ペコペコで死にそうだった。

「おまえ・・・・・・美味しそうね。」

 ニワトリが食べ物に見えてきた葉月。

「コケ!?」

 身の危険を覚えるニワトリ。

「そうだ! お前の名前は、チキンよ!」

 こうしてニワトリの名前はチキンに決まった。

「コケ?」

 複雑な心境のチキン。

「良かったね。チキン。」

「コケー!」

「あなたも自分に名前ができて喜んでいるのね。」

 名前を付けて良かったと思う葉月。

「それでは・・・・・・いただきます!」

 笑顔でチキンを食べようとする葉月。

「こ、こ、こ、コケ!?」

 寝耳に水のチキン。

「タラン?」

 その時、葉月の視界が赤くなった。

「血!? 血が出てる!? ギャアアアアアアー!?」

 チキンに突かれまくった脳みそから血が流れている。

「コケ!?」

 葉月は目を回して気絶してしまった。

「見せてもらおうか? たかが人間の16歳の女子高生に世界が救えるのか、どうかを。」

 その様子を上空から見ている者がいた。

「久しぶりにお家に帰ろうっと。アハッ!」

 真理亜だった。真理亜は空を飛んで去って行った。

 つづく。

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