防人さんと旅人さん

作者 深果

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★★★ Excellent!!!

防人とは何ぞや──という疑問を置いてけぼりにしたまま、しばし話が進むのですよ。

たとえば、今これを読んでいるあなた様は、この和洋折衷なレビュータイトルに激しく心惹かれ(清々しいほどの決めつけ)、本作の魅力の一片を窺い知れるものと期待し、ここにいらっしゃるわけじゃないですか。

そこで私が「ところで先日ルートビアなるものを初めて飲んだのですが──」とか云い出したら良くて即ブラウザバック、最悪アレなユーザとして通報してしまうでしょう? ここは作品の特長を書くべきスペースで、ここにいるあなた様が読みたいと求めているのはレビューなのですから。

この小説でも全く同じでこそないものの、似たようなことが起きている。「だから、防人って何なんだよ」という読者の頭上にある疑問符は、そこそこ長いこと置きっぱにされてしまっている──はずなのですが。

「さいしょのおはなし 旅人さんとさくらのゆくえ」を読了してなお、防人が何を全うすべき役職なのかは見えてこない。されど、事実として「さいしょのおはなし 旅人さんとさくらのゆくえ」をすんなり読み終えた私がここにいるわけでして。

何やら──私自身が、この世界に落っこちた迷い人のひとりになったような気がしなくもなく(ちなみに防人の主な仕事内容については「もうひとつのせかいのどうぐ」で明らかになりますが、その意味深な役職名の由来については語られておらず)。

そう、"落っこちた"。「むかしばなし」の中で紐解かれるこの世界の成り立ちは、どうにも物々しくて。人や物、土地や気候、概念さえもゴチャゴチャになってしまった世界では、太陽は南から昇って北に沈むのが常識で、ジャパニーズホラーはジャパニーズさんが考えたホラーであると(少なくとも防人さんの脳内では)誤解されていたりする。特に概念の融合という点には、一方ならぬ暗さを感じなくもないが──。

とはいえ、人をダ… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

私達の世界から流れ着くヒト、モノ、コトに翻弄される異世界が舞台です。読んでいてなんとなく、小学校で読んだ児童ファンタジーを想わせますね。
主人公の少女の、素直にしてフラットな感想が小気味良いです。

ひとつ気になったのは序盤とその後で文体がずいぶん変わるところです。序盤ミドル、その後は短文実況調のライトなので、Web読み物としては逆のほうが読者は増えそうかなぁ……と。