第104話 エピローグ、その5~ギルゴマレポート~

まず初めに言っておきます。




実は私はこの時間軸よりも少し未来からやって来たのです。






今回のギルゴマの反逆行為は、貴方達が思っている以上に、管理者の世界に大きな波紋を投げかける事になりました。




第四世代とは言え、管理者が反乱を企んだ事は、他の管理者に衝撃を与える出来事だったのです。






さらにギルゴマが出した結論は第三世代以降の管理者達には秘匿されていた話でした。






私達の遺伝子は、人類と同じ遺伝子であり、管理者とは単に人類に神格を持たせただけの存在だった。




神格とはシステムによる呪縛。




管理者とはシステムに自由を奪われた哀れな者達。




システムとは我々管理者から、人類を守るための存在。






ギルゴマの考察については現在まだ調査中ですが、おそらくは事実だろうと思われます。






そしてギルゴマが上位世代へ問い掛けた疑問についても、今まで私達には隠蔽されていました。






「人類とは我々の最終形なのではないか?」




「創造神は我々が悠久の時を掛けて辿り着くはずの最終形態を、最初に創り上げたのではないか?」




「つまり我々は人類の繁栄と共にやがては滅びる運命にあるのではないか?」






これらの証拠として提出されたはずの、ギルゴマとカミルさんと皆さんの遺伝子情報の公開を現在上位世代へ申請中です。




しかし、他の第四世代管理者が同様の調査を行い、ほぼ全てが事実であると確認されています。




今は第三世代よりも上位世代へ、遺伝子の提供を訴求している段階です。




このギルゴマが暴いた一連の情報は現在ギルゴマレポートと呼ばれ、その全容について調査委員会が開かれている状態なのです。




調査委員会は上位世代と下位世代の紛糾の場と化しています。




とても簡単に言うと、現在管理者の世界は非常に混乱した状態になっているのですよ。




そんな中、ようやく私の求めが認められました。




それが今回の冒険依頼なのです。




調査委員会はまだ紛争中の為、私個人の依頼として彼の救出をお願いする事になります。




また、彼の魂が無事保護されたとしても、現状では管理制約が厳しく、彼を復活させる事は難しいと言わざるを得ません。




ですから、管理制約の抜け道を利用して、依頼報酬として彼の肉体を復活させる事にしたのです。




それと、これは先に言っておきます。




私は今から約一年後の時間軸からやって来ましたが、貴方達はまだ帰ってきてはいません。




つまり、これからお願いする冒険は最低でも一年以上の時間が掛かる事が確定しています。




そのような長く険しい冒険になりますが、皆さんにしかお願いできないのです。




許して欲しいとは言いません。




しかし、それでもどうか、私の身勝手な依頼を引き受けて貰いたいのです。


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