第46話 予感
おかしい…何かが妙だ。遠征軍も別動隊も簡単に近付き過ぎている。
これは…魔物達が退却しつつあるのか?
カナタは急に魔物達の密度が薄くなっている事に気が付いた。
カナタは意識を張り巡らせて、遠く大軍勢の端を確認した。
これは…当初よりも魔物の範囲が広がっている?
そうか、それで魔物の密度が薄くなり遠征軍が近付けたのか!
まずい、これが敵の策略だとすると、次は…。
カナタが思考を巡らしていると、突然、爆発音が連続で鳴り響いた。
音に驚き周りを見ると、遠征軍の方から炎が上がっていた。
魔物の自爆攻撃が始まったようだった。
反対方向からも爆発音と悲鳴が聞こえる。どうやら別動隊にも被害が出たらしい。
く、気付くのが遅かったか。
次は再び密度が増すぞ!
カナタの予想通り、その後ほんの数分で先ほどまでのスペースが嘘のようにみるみるうちに縮まっていった。
カナタとカナは再び敵中に孤立した。
だがカナタは冷静に戦況を見極めていた。
これは陽動だ。今は動くべきではない。
こちらのジョーカーはカナだ。
何が起きようと最後に狙うのはこいつの命、こいつさえ守り切れればこちらの勝ちだ。
カナタは静かに感覚を研ぎ澄ませた。
やつは必ず現れる。
さて、いったいどこから来る?
カナタは前後左右を見渡したが、新たな敵の姿などない事を確認できただけだった。
しかし先ほどからずっと続くピリピリとした感覚、誰かに見られているような気配。
ジワリ、と嫌な汗が流れる。
「カナタ、私達も助太刀に行った方が…」
「駄目だ、今は動くんじゃない」
カナが不安そうにカナタを見た。
「カナ、気を抜くな。忘れるなよ、お前が最後の希望なんだ」
「それは、まだ何かが起きるって事?」
「あぁ、飛び切りのデカい事が起きる。だから…」
カナタはそう言って振り向き、カナの目を見て言った。
「お前は必ず生きて帰れ」
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