第27話 奇跡を見る、その8~神眼解放~

一瞬、目を開けていられないほどの眩しい光が彼をドーム状に包み込み、そして数瞬程経ってからパリンっと割れた。その後にドーンという音に遅れて衝撃波が走った。





爆風が周囲50メートルの魔物を吹き飛ばす。





辺りは空白地帯となり、その中心で彼は両膝をついて頭を抱え、激しい痛みに絶叫を上げていた。





「グ、ウオオォぉ!」





なんだ?頭が、割れるようだ!これは、どこの映像だ?いや、俺はどこにいる?!





彼の目には様々な映像が音が匂いが、感覚が“視えた”。





これは真っ暗闇?いや、宇宙か?!


ベータ、これが新しい力だと言うのか?こんなモノが?





「うわああぁぁ!」





駄目だ頭が、これは、持たな…。








次の瞬間、彼の前にアルファの幻覚が見えた。





「流れに飲み込まれちゃ駄目よ、貴方の感覚は今、人間を超越しているの!意識を保って!」





アルファ?本当にアルファなのか?





彼にはそれが幻覚なのか本物なのかも分からなくなっていた。





「貴方は今まで、この世界の修正力から身を隠すために真名を封印してきた。思い出して貴方の名を真の名前を!」





アルファが声をかけた。





「教官!しっかりしてください!」





良く見るとアリシアの姿もあった。いや、その後ろには…。





「なんだ?だらしがねえな、それでもお前は俺達のリーダーかよ」





ホレス?





「そうですよ、貴方は私達のリーダーなんですから、しっかりしてください!」





レーナも?





「早く戻って、…リーダー…」





ベータまで…。





「教官、貴方のなりたい人はどんな人ですか?」





「諦めない…何度でも…立ち上がる…ソウイフモノニ…」





ワタシハナリタイ。





「早く真名を唱えて!」





アルファが叫んだ。











そうだ、思い出せ、真名を、俺の名を!





俺の名は…。


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