Ver.4/第3話
茶々を入れてきたモカに対して抗議していると、何やら視線を感じる。
「ん?」
目を向けてみると、いつの間にか、顔を隠すコスチュームを解除してしまっているマカリナだった。
「本物だあ……」
憧れのアイドルに出会ったような恍惚とした表情になって、モカに熱い視線を送っているではないか。
「何? リナって、モカさんのファン?」
「え!? ちがっ! 憧れてるけど、そんなんじゃないよ!?」
「あー。そういえば、モカさんって、リナの好きなタイプか……。見ていて、かっこいいもんねー」
マカリナの反応に、ラキアが口を挟む。
「ふーん」
「だから、違うってば! かっこいいとは、思ってるけど」
「思ってるんじゃん」
「だからあ……」
マカリナとラキアの他愛無いやり取りを耳にしながら、チョコットとのやり取り、モカとマカリナの関係性、色んなことが頭の中で積み重なり、ひとつの考えがまとまると、声を上げていた。
「あのー。せっかく、皆さん集まったみたいなので、フレンド登録お願いできませんか?」
ハルマの呼びかけをキッカケに、即席のフレンド登録会に発展していく。
「モカさん。こちら、俺のフレンドで、マカリナさん。ツルハシ作るのに協力してもらった人です」
「あー! はいはい。聞いてるよ。あなたがマカリナさんだったのね。面白いスキル使うよねえ」
「ひゃっ、ひゃい。はじめまして! よろしくお願いしみゃふ」
「噛んでる、噛んでる。リナ、緊張しすぎ。私は、マカリナのリアルフレンドでラキアっていいます。よろしくお願いします。一度お話してみたかったんですよ!」
集まった面々は、前々から気になっていた者の所に向かい、声を掛け合う。
ハルマも、チョコット達とフレンド登録していると、別の集団が近寄って来た。
「やあ。僕達も、お願いできるかな?」
「テスタプラスさん! ぜひぜひ」
「よかった。昨日は、優勝おめでとう。それにしても、前にチップ君達に会った時に話してたのは、やっぱり君のことだったんだね。やられたよ」
「ほーんと。何あれ? どうやったら、あんなデタラメなことできるのよ? あまりにデタラメすぎて、いっそ清々しかったわよ」
「いやー、まさか、最後の最後で、ブーメランの初期スキルで八つ裂きにされて負けるとか、考えてもいなかったってーの」
テスタプラスに続き、コヤとリュウタローに立て続けに笑顔で声を掛けられる。
コヤとリュウタローだけでなく、テスタプラスのパーティメンバーは、全員にこやかにフレンド登録を催促してきた。
どうやら、コヤの言葉の通り、清々しさを感じている様子だ。
談笑しながらフレンド登録していると、更に追加で近寄って来る人物がいた。
「まったく。せっかくわたしに勝ったというに、アンタ達には失望したわよ! 負けた相手にホイホイ尻尾振るなんて……。あ、ハルマ様、わたしもフレンドになってください!」
見た目はただのパジャマ姿である最強魔法使いの登場である。
「相変わらず、支離滅裂なことを……。おかしなのは、恰好だけにしときなさいよ」
高圧的に登場したかと思ったら、ハルマを前にしてキャハっと女性アイドルでもしなさそうなポーズを決めてくるネマキに、知り合いなのかコヤが呆れてみせる。
8人での行動を続けていることもあり、テスタプラス達のレベルはあまり高くはないのだが、個々の能力は堅実で、実力もある。そのため、コヤも魔法使いとしての腕前はかなり高い。
ただ、ネマキほど魔法職を極めているかというと、足元にも及ばないことも自覚しているため、ある種のリスペクトを持って交流しているみたいである。
こうして、結局、集まった全員が互いにフレンド登録することになるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます