第4章 不落魔王ここにあり

Ver.3/第36話

【風の大陸の森の神との盟約/常時風属性耐性+40% 常時土属性耐性+20%】

【闇の大陸の森の神との盟約/常時闇属性耐性+40% 常時火属性耐性+20%】

【水の大陸の森の神との盟約/常時水属性耐性+40% 常時風属性耐性+20%】

 トワネ、ズキンの父カルラ、ユララとの盟約によって、これらのボーナス耐性があったのだが、これに新たにピインが加わった。

【光の大陸の森の神との盟約/常時光属性耐性+40% 常時闇属性耐性+20%】


「えーと? これで風と闇が60%、水と光が40%、火と土が20%か。それでも、攻撃魔法系の耐性は低いままか……。基本的に現状維持って感じだな」

 攻撃魔法として主に使われている属性は、風、水、火、土であるからだ。加えて、風魔法を60%軽減できるとはいえ、ハルマの素のステータスが低いこともあり、中級以上の魔法を使われると簡単に致死ダメージを越えてしまう。

 光と闇属性の攻撃魔法も存在するにはするのだが、このふたつの属性は、主に回復魔法とバフ、状態異常魔法とデバフで占められている。

 当然のことなのだが、光耐性が付いたからと言って、回復魔法による効果が減少することはない。

 加えて、闇耐性が付いているからと言って、状態異常魔法に対する耐性も上昇することはない。

 属性耐性で軽減されるのは、あくまでもダメージであるのだ。

「しかし、ずいぶん特殊なキャラだな」

 これまで仲間になったNPC達も特殊な者ばかりだが、ピインも風変わりな特性を持っていた。

 まず、本体を封印され、魂と精神の一部だけを切り離している状態のため、基本的にマリーやエルシアのようなゴースト系に近い存在である点だ。

 つまり、実体を持たないため、物理攻撃ができない上に、物理攻撃を受けることもない。とはいえ、攻撃はできないながらも、触ろうと思えば触れるし、すり抜けようと思えばすり抜けられるという曖昧な部分も大きいみたいである。

 ただ、通常のゴースト系と違うのが、設定した相手にだけ見えるという訳ではない点である。そのため、通常のNPCであってもピインのことを認知できた。

「光と闇属性の魔法を使えるけど、ピインのステータスは低いから、こっちはあんまり期待できそうにないな。あと……、使えるスキルは〈ゲンエイ〉だけか……。でも、これは面白いスキルだなあ」

 ピインの使えるスキルは〈幻影〉と〈現影〉の2種類が内在したものだった。

 一つ目の〈幻影イリュージョン〉は、シンプルに幻を作り出すスキルである。これによって、ピインはウサギや人の姿などに変身することも可能だった。

 二つ目の〈現影〉は、ハルマにとっては非常に強力なスキルと言えた。

 何しろ、対象の影と同化することで、対象になったキャラと同じ能力を有することが可能になるというものだからだ。

 ヤタジャオースの影と同化し、姿を現すことでヤタジャオースの使うアイスブレスを使うこともできれば、ニノエの影と同化して、姿を現すことで回復役をこなすこともできるわけである。ただ、これらはハンゾウの変化の術と違い、トワネの〈木霊〉の上位スキルに近く、影の本体と同じことを繰り返すだけに留まるようだ。

「それにしても、立て続けにコピー系のスキル持ちが仲間になったなあ」

 そのうち面白いことができそうだなと、ぼんやり思うハルマなのだった。

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