Ver.3/第5話
あちこち散策してみて、わかったことがあった。
「岩山のほとんどが鉱山なのかな?」
行く先々で洞窟が見つかるので、大きめの場所に入ってみると人の手で掘られたものであることがすぐにわかったのだ。しかも、放置されたトロッコもあり、長年使われていないことも窺えた。
こういった場所は1か所だけでなく、どこも同じような状況だったのだ。
「ん?」
何か所か同じような坑道を巡っている時だった。
今まで経験したことのない反応があったのだ。
「採取ポイントの反応があるのに、何も落ちてない? バグか?」
Eランクの採取ポイントらしいので、気にせず無視しても良かったのだが、反応の仕方も奇妙だったのだ。
通常は、地面の一定範囲に円形の反応が現れるのだが、今回は壁にそれが現れている。
何でだろうな? と、しばらく考え、自身の持つ〈発見〉のスキルを再確認して合点がいった。
「これが採掘ポイントなのかな?」
シャムが生まれたばかりの頃に〈発見Ⅴ〉から成長した〈発見SP〉に、追加で加わった能力があった。それが『採掘ポイントの発見』だった。
しかし、取得して以降、それらしきポイントを見つけることはなかったのである。
「採掘ってことは、掘らないとダメだよな? たぶん」
平手でぺちぺち叩いてみたが、何の反応もない。
装備品で突いてみても手応えはなく、無反応のままだった。
「これは……。何か道具が必要なのか?」
武器がダメならスキルや魔法はどうだろうかと試してみたが、やはり壁が崩れることはなく、素材を入手することはできなかった。
連れている仲間に視線を向けてみるも、こういった知識を持っていそうな者は見当たらない。
こういう時に頼れるのは、やはりNPCよりはPCであろう。
「あ。チップ。たびたびスマン」
「おう。どうした? もうロシャロカ抜けたのか?」
「あー、いや。そっちは一旦保留して、先にロシャロカの探索することにしたんだよ。でな。前にチップが話してた新しい町って、このエリアにもあるんだっけ?」
「あるぞ? 場所、知りたいのか?」
「さすが話が早い。頼む」
「オッケー。ちょっと待ってくれ。けっこうわかりにくい場所だから、マップの座標教えるよ」
少し待っていると、使い魔のコウモリに伝言メッセージが届けられた。
ハロウィンイベントで獲得した使い魔は、30文字以内のやり取りを行うのに便利で、相手のログイン状況にかかわりなく伝言を残せるため重宝していた。
また、こういった文字情報の方が相手に伝えやすい時も、簡易の手紙代わりに使われることも多いのだ。
「えーと? B-8で、川沿いの崖に沿って行けばわかるのか。そういえば、山も多いけど、川も多いんだよな、ここ」
ハルマは、自分が今いる地点がD-6であることを確認すると、南西に向かって移動を始めるのだった。
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