Ver.3/第4話
一先ずの目的地であったロシャロカ地方の転移場所に到着すると、そのまま次のエリアボスを目指して移動を開始した。
ただ、この段階でも少し悩んでいた。
「誰もいないってほどじゃないけど、警戒するほど多くもないんだよなあ」
もともと戦闘民族タイプのプレイヤーではない。
のんびりマイペースで遊びたいだけであるので、強敵を粉砕したいという欲求もあまりないのである。
簡単に言えば、苦労して倒すより楽に倒したい派、なのだ。
この先に待ち構えているエリアボスは、楽に倒せる相手なのかと問われれば、チップ達最前線プレイヤーを足止めしている難敵であるため、否であろう。
いくら自分が特異なプレイヤーと自覚しているとはいえ、苦戦は免れないだろうし、勝てるとも限らないのだ。
「うーん。とりあえず、このエリアをある程度回ってみてから考えるかな?」
先に進もうと思った理由は、気ままに冒険したいこと、そして、ハイブリッドポーションの素材を見つけることである。後は、先に進めば珍しい素材も見つかるかもな、程度のモチベーションであったため、あっさり目的は修正された。そもそも、ハイブリッドポーションの素材が、この先にあると判明しているわけでもなく、徒労に終わる可能性の方が高いのだ。
それに、ロシャロカ地方でこれといった発見もなければ、当初の計画通り、エリアボスに挑めば良いだけである。
一度は次のエリアを目指して動き出していたが、気変わりとともに進行方向も変わることになった。
改めてロシャロカを見回してみると、今まで巡ってきたエリアとは、また一風変わった特徴を持っている。
光の大陸のカサロストイ地方には浮遊大陸が、風の大陸のアウィスリッド地方には大森林があったが、このロシャロカは岩山が乱立していた。
そして、最大の特徴が洞くつが至る所で見つかる点だった。
「そういえば、風の大陸にはエルフの国だろ? 水の大陸には人魚の国。闇の大陸には鬼人の国があるんだよな? 土の大陸だと、たぶんドワーフの国があると思うんだけど、それは、やっぱり、まだ先の話かな? あれ? あちこちで町が見つかってるって、前にチップが話してたの、ここもだっけな?」
チップ達の話では、エリアによっては、国ではなく、小規模な町ならいくつか見つかっているらしい。ただ、そこで暮らしているのは異種族ではなく、人間であるようだ。ハルマも行けるエリアだと、カサロストイの端の方に、小さな集落のような町があると教えてもらっていた。
その時に、カサロストイ以外でも見つかっているエリアを一緒に教えてもらっていたのだが、あまり真剣に聞いていなかったこともあり、ほとんど覚えていなかった。
「いつも通り採取しながら、町を探してみるかな?」
経験上、このくらいのエリアになるとCランクの採取ポイントが見つかりやすくなる。まずは、それを探しながら移動を再開するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます