Ver.2/第41話
ラフのパーツを強化したことで、強さは段違いに上がっていた。
「いやー。目に見えて成長がわかると、嬉しいものだなー」
初期設定のステータスは、だいたいレベル30相当という感じであった。ハルマのレベルが29であるので、それでもじゅうぶんだったのだが、Eランクの素材からCランクの素材に切り替えただけで、レベル55程度の強さになっていた。
これは、ニノエのレベルを参考にしているので、だいぶ信頼できる数値である。
しかし、ハルマは知らない。
ただランクが高い素材を使っただけでは、ここまで強くならないことを。
これだけ性能アップできたのは、ハルマのDEXの高さと、職人としての腕があればこそなのだ。
「良いタイミングだから、皆の装備も新調するかな?」
ニノエの持っていた装備品も悪くはなかったのだが、付加効果のないものだった。また、ヤタジャオースはツメだけは装備できるのだが、素の攻撃力が高かったため、余り物を持たせていたので、これもちゃんとしたものに切り替えたい。
ズキンに限っては、初期装備を上回れるものはまだ作れないので、保留のままとする。
ラフに使わせていた物は時々作り変えていたのだが、それもしばらく行っていなかった。
「とはいえ、新素材を使ったレシピは知らないからなー。というか、バザーに出回ってないから俺しか採取できてない素材も多いだろうし……。うーん。さすがに新レシピを開発するほどの数はないか。しばらく素材を放流して、レシピを誰かが完成させてくれるのを期待するかな?」
上位の装備品になればなるほど、材料の組み合わせは複雑になっていく。自分用のものを作るだけであれば、それなりの数を確保しているが、研究に費やせるほどではない。
とりあえず、出回っている装備品の中で、良さそうなものを見繕いレシピを購入していく。もともと目新しいレシピを見かけたら買うようにしていたのだが、この世界の職人レシピは日進月歩である。
買い漁ってみると、けっこうな額が消えていた。
「うへぇ。蘇生薬のレシピの特許持ってなかったら危なかった。ってか、余裕があるからって、考えなしに買い過ぎたな」
ハルマの場合は、生産職の〈錬金〉〈調合〉〈木工〉〈裁縫〉〈鍛冶〉〈魔加術〉〈細工〉の全てをやっているため、ただでさえレシピをそろえるのにお金がかかるのだ。
金遣いの荒さに自ら反省すると、素材を確認し、新しい装備品をそろえていくことにする。
ラフ用の片手剣と革装備。
ヤタジャオース用のツメ。
ニノエ用の弓、短剣、革装備。
トワネとユララは、封印されている影響からだろう、装備品を身につけることができないので必要ない。
ハルマ自身の装備品にかんしては、片手剣と盾はガード率100%を維持するために変えることができないが、それ以外の部位に関しては新調することにした。
何か属性耐性を上げようかとも思ったが、森の神との盟約による耐性は今のところまとまりがなく、ひとつひとつはあまり恩恵がない。風耐性であればやってみる価値もあるだろうが、ドラゴン族に限るとはいえズキンのスキルで補完できるので、旨味は薄いような気がしていた。そのため、どれかに絞るのも難しく思えたこともあり、今回は見送ることにした。
「状態異常系の耐性もユララのおかげであんまり考える必要もないから、今のところは基礎ステータス上げる付加効果でいいかな?」
HPやAGI、MD(魔法防御)が上がるように魔加術を施し、完成させる。
「良し! こんなもんかな? これでダメだったら、諦めもつくだろう」
エリア内にある全てが、同じレベル帯でクリアできるとは限らない。初期エリアであっても、雨降りの迷宮のように難易度の高い場所も存在するのだ。
こうして、ハルマ一行は珍しく地道な努力による強化を行うと、再度、〈癒しの水〉を求めに出かけるのだった。
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