第226話 〝弓帝〟への対応
琉海はまず、同じ状況を作る。
精霊術で炎を生み出し、それを足元に放った。
発火したときと同じように。
精霊術で発生させた炎は発火したときよりも大きい。
接近してきた矢に琉海は視線を向ける。
そして射線に炎が被るようにした。
すると、矢は琉海の傍を通り過ぎていった。
「これは……」
推測を立証するためにさらに炎の数を増やしてみる。
遠くからは街中に火柱が何本も発生しているかのように見えただろう。
炎が増えると軒並み矢の正確性は落ちた。
琉海にかすりもしなくなる。
「俺が見えていない?」
正確さが炎を増やすごとに悪くなっているのは明らか。
増やし続けたことで火柱が琉海の姿を隠すほどだ。
今では、炎のカーテンに当てずっぽうに矢が飛んできていた。
火柱のカーテンに矢が放たれるがそこに琉海はいない。
いないとわかると別の場所を射抜く。
明らかに琉海を見失っていた。
戦略が
質より量に変えたことで矢の速度はかなり上がっていた。
それでも、追尾してこないだけでだいぶ楽だった。
〝弓帝〟の遠見の弱点は炎だったようだ。
ここから琉海はさらなる推測を立てて、逃走する算段をつける。
琉海は自分で作った火柱のカーテンから離れる。
炎から距離を取ると、追尾する矢が蘇る。
琉海を追ってくる矢。
琉海はその矢を捕捉しつつ、精霊術で自分の体の周りに冷気の膜を張った。
それと同時に魔力も抑える。
瞬間、追尾機能が失ったのか、簡単に避けることができた。
「読み通りだな」
元の世界の知識がなければ、攻略できなかっただろう。
〝弓帝〟が不運だったのは、相手が転移者だったことだ。
琉海は矢が飛んできていたほうに視線を向ける。
次の矢が襲ってくることはなかった。
もう琉海を捕捉できていないということだろう。
それを確認した後、琉海は街の闇に紛れて逃走した。
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