幻想事件簿

作者 柊木紫織

180

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★★★ Excellent!!!

現代ホラーで、幻想譚で、刑事もの。どうしたらそんなことが可能になるのか?

闇に潜む敵の、得体の知れない悍ましさ。
不浄の相手の不快な臭い、触感。
主人公が傷を負う痛みや、かけられる言葉の温度感。
さらには、現代ファンタジーだからこそごまかしの利かない、リアルな情景描写。
完成されたテキストが「あやかしを追うリアルな警察組織」という、驚きの筋立てを、高いレベルで見事に仕立て上げている。
登場人物も、みな、個性を持って活き活きと描かれており、読み手が行間を楽しむ余地まで提供された総合エンターテイメント作品である。

★★★ Excellent!!!

たった一人の兄の犯した大罪は、青年の将来を決意させる転換点となった。

他人と自分が違うことに苦悩する毎日。それでも彼は誠実であろうと生きてきた。しかし、この気質が…………彼を日常の裏側に引き込む要因となった。

いや、敢えて言うならば運命か。

それは必然であったとでも言うように、世界は彼を非日常へと送り込む。

幻想の存在の交わる非日常。

警察として働きながら、兄を追い続ける青年の怪奇譚。

現代の裏側で………密かに幻想の者共と、悪意ある人々と戦い続ける者達がいた。


非常にセンス溢れる語彙の数々、魅力的で個性的なキャラクターが彩る世界観は、確かに非日常を生きる人々の人生を目に焼き付けさせる。

ひたすらに、彼らの送る非日常にわいは目が離せない。

もう、この作品なくしてわいは生きていく事などできない!

作り込まれた完成度の高い、自信を持ってオススメできる現代ファンタジー作品ですじぇ。

読めば読むほど分かる。これはいずれ名作と成り得る物語だと!

さあ、今すぐ飛び込もうぜ。俺らの心を掴んで離さない、魅了して止まない、愛しくも素晴らしき非日常の世界へ!

★★★ Excellent!!!

幻想種――古い物語で語られた、怪物や幻獣、神様の眷属たち。そんな不思議な存在が住まうのは、剣と魔法のハイファンタジーではなく、すべてが善玉と悪玉とに分かれたメロドラマの劇中でもなく、あまりに多くが病んでいく現代――〝この世界〟。

貧困、いじめ、コンプレックス――残酷な社会の影が人の心を蝕んで、欲望を、嫉妬を、憎悪を育んでいく。幻想種は、そうして黒く熟れた魂を喰らいに現れて、悲劇を拡散させていく。その過程で描かれる、世界の姿と人の有様は、決して物語のなかだけの幻想なんかじゃない――直視もままならない生々しい現実そのものだ。

そんなリアルな幻想に立ち向かうのは、警視庁刑事部捜査第五課――通称、幻想課。個性的で格好良く、時にはキュートな彼らもまた、複雑な過去と想いを抱えている。感情と責務の板挟み、正義と賢愚の選択、守るべきものへの怒りと討つべきものへの哀れみ。なにひとつ確かなものがない現実で、もがきながら生きている――私たちみたいに。

端正に整えられた文体と描画に迫る精緻な情景描写で紡がれる、素晴らしい現代ファンタジーです。神話や童話がお好きな方、陰惨で美しい物語がお好きな方、是非ご一読を!

★★★ Excellent!!!

【第五回白雪賞企画:第五章まで読み進めた上でのレビューです】

幻想種(ファキエ)という科学では証明できない不可思議なモノ。
それは、神々から妖怪、都市伝説に至るまで全ての存在を指す。
その幻想種を中心に様々な物語が展開されていきます!

現在捜査第五課に所属している主人公の稔は、とにかく好感がもてるんですよね。
誠実で優しく真っ直ぐなその性格で、主人公に惹かれる人も少なくないでしょう。
ホラー描写も細かく描かれており、空気が引き締まります。

それぞれの物語が重なり文章に重厚感を出せるのは、さまざまな読書を経て、それていて自分の好きを追及しているような、そんな印象さえ受けました。
小説を読んでいるというよりかは「体感している」と言った方が正しいのかもしれません。それほどまでに読ませるという文章ではなく、良い意味で物語を体験している感覚を文章で引き出せるのは凄いなと感じました!
物語としても相当楽しめる夢中になれる作品です!!

★★★ Excellent!!!

“幻想種”と呼ばれる神秘の存在達と、人の魂や欲望が織り成す濃密な現代ファンタジーです。

“幻想”というテーマを掲げながらも、善と悪、それだけでは割り切れない登場人物達の有り様が、ただ美しいだけではない、現代を生きる読み手の心を揺さぶる“幻想”としてこの作品を形作っているのだと感じさせます。

周りに流されてルール違反をする、善いことをしたら嗤われた───善と悪の狭間でもがく主人公を見ていると、こういう苦い経験が頭を過る方はきっといるのではないでしょうか。

美麗かつ端正な文章と、タフな筆力に裏打ちされた物語に容易に取り込まれてしまいます。
現代に深く、深く根差した“幻想”の物語、是非とも読んでほしい作品です。

★★★ Excellent!!!

RTから来ました。

読書量と執筆量に裏付けられた、確かな文章力。これに尽きると思います。

このジャンルが本当にお好きなのが伝わってきます。作中も描きたいものを明確にしつつ、読者に寄り添ってくれるので、普段なじみのないジャンルでしたが、どんどんと読み進めることができました。

書きたい気持ちだけでなく、それをどう伝えるか、その手段をきちんと持っている作者さんだと思います。



★★★ Excellent!!!

あやかし、妖精、神話の生き物。世に数多ある『幻想』の存在が、現実に事件を巻き起こす。そんな『幻想種』を専門とした『警察組織』がある。

なるほど、ファンタジー?と思うなかれ。物語のリアリティに横っ面を殴られます。このリアリティは読みやすくも描写に溢れる文章と、扱われる事件、そして清も濁も誤魔化さない人間の心情の描き出しにより得られるのでしょうか。

事件はどれも、今まさに現実に起きていて不思議ではないものばかり。だというのに、そこに異質な『幻想種』がするりと入り混んでいる。現実と非現実のバランスが良いです。

何より良いのが、『正義』というものの危うさを書いているところ。これは主人公の核となる部分で、これから彼がどう自身の正義と対峙するのか、兄との対峙とともにとても楽しみな要素です。

チートになりかねない能力値の高いキャラクターも自陣にいるのですが、その能力にきちんと制約があります。また、『警察組織』である枷がしっかり嵌められていることで、ここもまたうまく抑制されていて唸らされるばかり。

くどくど書いてしまいましたが、大変おもしろい。あと紅葉がかわいい。むっちゃかわいい。そして課長が小さい(大切)

読み始めたらきっとあなたも幻想の虜です。お試しあれ。

★★★ Excellent!!!

刑事というごくあふれた職業であるが、
そこに幻想というリアルとは対極あるものが入ってくるということにより、物語が入り混じり、続きが気になってしまう。
また、ごく最近の事件を題材にしているのか物語にリアリティがあり、真に迫っており、十分評価に値できる。そのため更新は待ちきれない。

★★★ Excellent!!!

 こちらの作品で特筆すべきなのは、やはり『幻想種』という言葉。
 そんなファンタジー全開な言葉と、現実世界でも知らない人はいないほどの大きな組織である『警察』。
 この二つの言葉、存在が、物語に大きな影響を与えながら複雑に絡み合います。
 決して相容れない現実とファンタジーが見事に表現され、奇妙なリアリティを持って読み進めることができます。

 そして、作品のストーリーに負けないほどの力を持っている圧倒的な描写力。
 その場での緊張感や、徐々に見えてくる事件の全貌。
 登場人物一人一人に魅力があり、まるで世界のどこかで本当にこんなことが起こっているかのような気持ちにさせられます。

 私たちの世界にもたくさんある、科学では証明できない不思議な出来事、存在、モノ。
 そんな不思議な存在と警察官たちとの、目に見えない不思議な糸の絡み合い。
 ぜひご堪能ください。
 

★★★ Excellent!!!

幻想種という不可思議な存在と向き合う捜査第五課に所属した主人公、稔。過去の事件、兄との因縁、翠眼の能力――
事件が重なり合い見えてくるものや彼らの世界がとにかく重厚で格好良いです。
なにより、誠実な警察官であり優しい主人公の稔さんが非常に魅力的で好感高く読み進められます。安心して応援できる警察官、最高に素敵です。
幻想種というものは紹介にあるように科学で太刀打ちできないものの総称。不可思議な存在は本当に様々で、オカルトホラー要素の強いものから有名な種族まで。
ホラー描写はぞっとし、空気は張り付くような緊張感と読み進めやすさ。戦う姿の凛とした格好良さなど非常にのめり込んで読んでしまうお話です。
彼の進む先、歩む人。それらと共に広がる世界に浸る時間を、是非体感してください。