第11話 都へ向かう桃太郎

 港町を治めたりしは港町を治めていたのは赤井御門守報忠あかいもんどのかみのりただと言ふ御家人なりきという御家人でした

 海賊捕まり海賊が捕らえられ海に襲はるる人あらずなれば海で襲われる人がいなくなったので、御家人もわたり人々いと喜びけるたいへん喜びました


「女の身にありながら、海賊どもを捕らえたのは見事である。

 褒めてつかわす、名を名乗るがよい」


 御家人は偉さうにあなづるべく言ふと偉そうに見下したように言うと桃太郎かぐやひめ畏まりていらへきかしこまって答えました


「なよ竹のかぐや姫と言います」


「褒美を取らす、望みを言うが良い」


「はい、実は船で旅をしておりましたが、途中で嵐にい船を失いました。

 旅を続けたく存じますれば、船を一艘お借りしたく存じ上げます」


「旅とな? 何処いずこへ参る?」


 桃太郎かぐやひめ海賊どもとの話想ひ出し海賊たちとの会話を想い出し、鬼ヶ島といらへば答えれば大罵りにならぬやと憂へき大騒ぎになるのではと心配しました


「はい、都へ参りとう存じます」


 桃太郎かぐやひめさるべき嘘をつきける適当なウソをつきました


「都へ行くのであれば手形が要ろう。

 手形は持っておるか?」


「嵐に遭った時に、船と共に失いました」


「ならば手形も書いてやろう。船と漕ぎ手も用意してやろう」


「ありがたき幸せに存じます」


「都へ行くのであれば頼みたいことがある」


「何でございましょう?」


「都には息子の報道のりみちがおる。

 勉学のため都へ行ったはいいが便りの一つも寄越さぬ。

 都へ行ったら息子を探し出し、手紙を届けて欲しい」


「かしこまりましてございます」


 かくしこうして桃太郎かぐやひめは手形と文受け取り手紙を受け取り、船に乗りて乗って都へ向かひける向かいました

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