第221話・消滅魔法の本質と対策(2)
エテルノの究極の攻撃魔法”
予想を遥かに上回るその方法にエテルノは驚きを隠せないでいた。
「さぁこの魔法に関して、君が理解している所を洗いざらい話して貰うよ」
とエテルノに迫られるプリームス。
プリームスにとって、この
エテルノは既に使いこなせているのだから、ここは更に理解を深めて安全性を向上させるべきなのだ。
「そう急かさなくても1から10まで話そう。だがその前に訊いておきたい事が有る」
そう告げるプリームスへ焦れそうになるが、何とかエテルノは大人の対応を見せた。
「う、うむ・・・・言ってみて」
正直な所、自身が使う魔法で未知の部分が有る事は心得ており、それを解き明かしている者が目の前にいるのは驚愕でしかない。
また己が解明出来なかった嫉妬と、知識への探求心が織り交ざった実に複雑な気分であった。
プリームスは真っ直ぐにエテルノを見据えて言った。
「この魔法──
一見してこの魔法を使いこなせている相手に対して、馬鹿にするような言い方に聞こえる。
しかし真面目なプリームスの問いかけにエテルノは息を飲んでしまう。
「その通りだ。
エテルノの返答にプリームスはニッと笑みを浮かべる。
「やはりそうか・・・・」
試練場の中央に出来た巨大な窪みを見下ろすプリームス。
それは
「物質を破壊、熔解、分解する事は、従来の人間の力では可能だ。だがこの世界から消し去る事は不可能なのだよ」
そう告げたプリームスの言葉にエテルノは首を傾げる。
「?・・・・・何が言いたいの?」
プリームスはエテルノの問いを余所に、尚も続けた。
「消し去る事が出来ないのなら、このえぐり取られた床は一体どこに行ってしまったのだ?」
そして穿った床の巨大な窪みに手を差し向け言い放つ。
「確かに我々の目には消失したかのように見える。しかし如何に魔神の魔法と言えど、この人界で行動するならば、その法則から外れる事は出来ない」
眉を
そんなエテルノに対しプリームスは示唆するように一言告げる。
「魔神はこの魔法を使う前に何かをしていなかったかね?」
プリームスの言葉を素直に受け止め、エテルノは100年前の魔神戦争を脳裏に蘇らせる。
あの時、支配階級の強大な魔神は、戦場で奮闘する特に強い守り人の戦士達を
まず初めに
『ん? あの時、戦士達と戦っていた下級魔神諸共、消滅魔法の餌食となっていた・・・。ならわざわざ拘束する必要など無かったのでは?』
ここでエテルノは1つの答えにたどり着く。
「まさか後を見越して捕縛した?」
エテルノが独り言のように呟いた言葉に、プリームスは頷いた。
「そう言う事だ」
漸く核心に行き着いたエテルノは、プリームスを見やって言った。
「魔法で拘束したのは
再び床に穿った巨大な窪みを見据えるプリームスは、
「一見して
と苦笑しながら告げる。
『攻撃魔法と思っていた物が、実は転送魔法だったとは・・・・』
新事実にエテルノは呆然としてしまう。
しかしながら命を奪う魔法で無くとも、転送された先が魔神達の巣食う世界で在るなら死んだも同然と言えた。
命を奪われなくとも”何か”に利用する為なのは明白だからだ。
魔神達が何を考えてそうしたのかは今は置くとして、プリームスがどうやって消滅魔法を無力化したのかエテルノは気になって仕方ない。
それを察したのかプリームスは、
「さてエテルノ・・・お主は私がどうやって無力化したか知りたいのであろう?」
そう言ってエテルノの傍にやって来た。
「あ、あぁ・・・知りたい」
何だかプリームスの様子が変わったような気がして怪訝に思ったが、知識欲には勝てないエテルノ。
するとプリームスはエテルノを抱き寄せ、その耳元へ囁きかけた。
「知りたい事を何でも教えてやろ。その代わり私と仲良くなってはくれまいか?」
プリームスの吐息が耳のかかり、ゾクゾクと
こそばゆい様な、それでいて何だか心地の良い感覚・・・・。
そして直ぐさまハッとしエテルノは我に返る。
『ムムム~吸血鬼である私を魅了しようなんて!!』
慌ててプリームスから身を離すエテルノは、
「き、君は一体何歳なんだい!!?? 吸血鬼である私より魔神に対する見識が高いようだし、只の人間ではないだろう!?」
と言い放ち、まるで貞操を守る様に自身の身体を両手で抱いた。
プリームスは少し惚けたように首を傾げる。
「あ~、う~む・・・・多分丁度350歳かな・・・・」
それを聞いたエテルノは、そのとんでもない数字にズッコケてしまうのであった。
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