第12話 捨てる神あれば拾う神あり
【おはよー今日はよろしくね。楽しみにしてる。18時駅の中央改札で。】
デート当日のメッセージ。
【おはよう、ざっき~今日は楽しみにしてるね~待ち合わせ了解でっす。】
いざ、決戦の舞台へ。
そして、時間通りに待ち合わせをして、他愛もない会話をしながら目的地に到着する。
今回は創作フレンチ、一枚板がお洒落で一見、高級懐石を思わせる造りになっている店内。この日のために友達と下見までして決めたのだ。
「わぁおしゃれ。ざっき~はよくこういう所、知ってるよね。」
(あなたの為にめっちゃ調べたんですけどなど言えるはずもない)
「ま、まあ、たまたま先輩に紹介してもらったから。」
「そうなんだ、その先輩さんに感謝です。」
茶目っ気たっぷりに片目をつぶり、手を合わせてるみずき。
(っは、かわいい)
続々と料理が続き、メインが運ばれてきた、今日のメインは神戸牛のローストらしい。正直、味なんてよくわからないがおいしいということはよくわかる。
そんなとき、会話の流れで恋人の条件について話すことになった。
「そうそう、みずきは今、彼氏いないって言ってたけど作りたいとは思ってないの」
「ん~別に欲しいとは思ってないし、いいひとがいればかな。」
「それは、お客さんでも??」
「とりあえず、いまはお客さんに告白されても断ってるかな」
「へっ、そうなの。。。」
「そうそう、やっぱりスナックのカウンターって、おもったより距離があって(この人いい人だな~)と思っても、(お客さんはお客さん)って思わないと仕事にならなくなっちゃうからね。だから、お客さんは今のところなし。いつまでもこの仕事続けることはないから、その時告白されたら考えるけどね。」
「へぇ~そうなんだ、出会い方ってホントに大事だね。」
「でも、大学の先輩とかでざっき~にあってもここまで仲良くなってないよ。多分」
冗談っぽくみずきが笑う、それにつられて、おれも笑う。
(確かに、夜の世界じゃなければ何度も顔合わせて2人でごはん行ってなんてむりかビジネスライクだからこそのいい距離感だよな。)
(今日、想いを伝えようと思ったけど。やめるか。しっかり告白する前に振られてしまった)
「じゃあそろそろ。ここでようか。」
「ああ、もうそんな時間?はや!!!ざっき~といると時間わすれちゃう。」
「うれしいこといってくれるね。」
(ちょっと嘘っぽく聞こえる、やばい、ネガティブになってる)
「おっけ~ポジティブ」×3
小声でつぶやく
「ざっき~どうしたの?」
「いやなんでもない。」
「行こうか」
「うん」
その後、クリスマスプレゼントを渡しシャンパンをママに開けさせられてしこたま飲んでクリスマス当日は過ぎていった。
まったく酔えなかった。
そんなしこたま飲んでいる最中、会社のお世話なっている先輩からこんなメッセージがきていた。
【クリスマスにごめんな。一人寂しくしていると思って、俺からクリスマスプレゼントやるぞ。年明けに一人紹介したい女性がいるから予定空けとけよ】
まさに 捨てる
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