枯れ荻の彼方に

作者 流川夕

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★★★ Excellent!!!

 物語の前半は、歴史小説。
 奈良時代の男女の、けっして実らない恋模様が寂しげに続く。それは、その舞台に沿った、流麗な言葉で綴られている。

 九州の防衛のために、防人として徴兵される男。その姿は、無骨で剛気。帰れぬことが前提の旅立ちは、奪うことさえ躊躇わせる。
 その男を慕い、許されない恋に堕ちることを願う女。その、哀しくもせつない、そして儚げな様子は、女から贈られた歌によく表れている。

 男からの返歌に、意表を突かれる女。魅了され恋情が大きく膨らんで……。


 そこで、舞台は現代に……。
 雑多に積まれたモノが頭上に降ってきて、昏倒していた夢の中での出来事。
 夢オチではあるが、その文章には、悠久のロマンが溢れているようだ。
 歴史好きは、文句ナシに楽しめるだろう。でも、歴史が苦手なわたしでも楽しめた物語である。

 和歌の解釈、現代語訳は筆者の想像であり、フィクションです……とある。しかし、それを含めて、楽しく読めるのではないだろうか……。

★★★ Excellent!!!

昔々のこと。
遠くへ旅立つ男と、それを見送り悲しむ女がおりました。
きっと戻れないと知りながら、必ず帰ると約束を交わす。

そして現在。
田舎の祖父の家で、彼は夢を見る。
切なく、悲しく。それでいて、美しく輝く物語。

きっと、誰の身にも起こり得た、遠い昔の
そして、今につながる物語。

美しい旋律のような物語は、きっとあなたを過去へと誘う。

★★★ Excellent!!!

 切ない恋、どんな時代にも恋は命を導いているのです。

 遠い万葉の頃、だが時間と人間は、たった1本の線に乗って現代に繋(つな)がっているのだ。

 その途切れない線があったからこそ、今、君はここに居る!

 そんな作品でした。

 そして「文学とはかくあるべき」と言う仕上がりです。
 是非とも! ご照覧あれ!