閑話 人物紹介③
メリル・フォン・オネスティ
艶やかな黒いロングヘアの美しい少女。
天真爛漫で好奇心旺盛なヒロイン――の皮を被った、結構打算的な女性。
中身はリーゼロッテと同じ世界からやって来た転生者。
生前はあまり裕福ではない家庭の子どもとして育ち、引っ込み思案で自信がない、暗めの性格をしていた。
前世での反省として、特に男関係では絶対に妥協をしないと決めているものの、慣れないことをしているせいか空回りが目立つ。
原作をやり込んでおり、アランやリーゼロッテが知らない情報も色々と持っている。
原作知識はアランとリーゼロッテのせいで役に立たないことも多いのだが、四章ではその知識を活かして、アランを出し抜くことに成功した。
が。結果はあのザマである。
攻略対象が全員数か月の長期入院をすることになってしまったが、彼女は今後どうするのか。
現在はエミリーと共に、とある作戦を展開中。
「この子と一緒だと、何故か身の危険を感じるんだけど……」
「どうかされましたか?」
「ううん、何でもない。もうすぐでボス部屋だから、気を付けていきましょう」
ラルフ・フォン・アルバイン・シルベスタニア
赤に近い茶髪を短かく切り揃えた、騎士見習いの少年。
原作では大柄な身体と快活な性格から、頼れる兄貴分のような人物になっていた。
今ではエールハルトが暴走しがちになった反動か、本来よりも思慮深く、慎重な性格になっている。
アラン、エールハルトに次ぐ三人目の攻略対象。
原作ではランダムイベントでの登場頻度が高く、好感度は上がりやすく下がりにくい。
三年目から恋愛を始めても攻略可能で、特定のイベントをこなさなくてもエンディングに入れることから、アランからの評価は
エールハルトの護衛に付いており、イベントを起こそうと近づいてくるメリルを問答無用で引き剥がすのが、最近の主な仕事。
彼女が姿を消して近づいてこようが、物陰から隙を突こうが、天性の勘でメリルを発見して撃退する。
「地獄の門番」という別名が付けられるくらいには鉄壁を誇る男。
エールハルトと共に騎士団の訓練に参加しているため、二章の時期からガウルに鍛えられている。
そのためリーゼロッテやアランとは兄弟弟子に当たり、学園入学後には共に修行する仲にもなった。
実家は古くからある名門貴族で、跡を継ぎ騎士になることを命じられている。
しかし、彼の思い描く理想の騎士像と、実家の思惑がすれ違っていること。また、四章でのアラン逮捕を巡り関係が悪化したことから、少し不安定な立場に置かれている。
「――ッ! この気配、そこかぁッ!!」
「ひぃ!? だから何でバレるのよぉ!」
クリストフ・フォン・アーゼルシュミット
真っ青な髪を長く伸ばし、後ろで一本に縛っている細身の男。
端整な顔立ちで、アラン曰く正統派イケメン。
少年時代には魔法能力の低さから落ちこぼれ扱いをされており、魔法発動の補助として魔術を使うようになる。
触媒を買う資金が乏しい中、マイナーとされている魔術の研究をするためには稼ぐ必要があったので、十歳の頃には魔道具の開発を行っていた。
リーゼロッテのトレーニングルームを建てるため招集した、魔道具職人たちの中に見習いとして参加していたのだが。彼が書いた提案書をアルバートが採用したため、製品が日の目を見ることになる。
しかし研究途中の技術だったため失敗作を大量生産することになり、公爵家が被った損害は金貨一万三千枚(四億円)に登る。
普通なら依頼の失敗で処分を受けるところではあったのだが。
金銭感覚がぶっ壊れた公爵夫妻の、「研究ってお金がかかるんだねぇ」というお金への無頓着さと。
現場で発生した問題を、アランが全て「まあこんなものです」という報告で押し通した結果、特に注目されることも無く終わる。
これはクリストフからすれば、アランが公爵夫妻に取りなしたように見えていた。
実家での虐待や社交界でのイジメなど。暗い人生を歩む中で、庇ってもらえたのが初めてだったこと。
また、研究資金を受け取った時、将来を期待されていると勘違いをしたことから。彼はアランに忠誠を誓うことになる。
再開するまでの歳月が、恋心を育てるかのように忠誠心を育て上げていき、三年が経った今では崇拝の対象にまで至った。
四章ではウォルター男爵から罠に嵌められ、ウォルターの崇める邪神と、クロスが追っていた邪神から同時に憑りつかれる。
が、アランへの尋常ではない信仰により事なきを得る。
正気に戻って初めて視界に入ったものが、朝日をバックに自分を治療しながら微笑むエミリーであり、彼女もまた信仰の対象になってしまったのだが。
彼が今後どうなるのかはエミリー次第だったりもする。
「クリスさん。来月までにウォーターサーバーが五百台ほど必要なのですが。ご用意いただけますか? これはアラン様のためになることなんです」
「おお、お任せくださいエミリー様! 来月と言わず、明日までに完成させてご覧にいれます!」
エミリー・フォン・ワイズマン
ワイズマン伯爵家の一人娘。
蝶よ花よと育てられた生粋のお嬢様であり、とても温和な性格をしている。
原作ではヒロインの親友ポジションというだけあり、専用のルートも用意されている主役級の人。
他の攻略対象ともバッティングせず、サージェスとすら仲良くできる貴重な人材だったりもする。
淑女としての英才教育は完璧なのだが、ワイズマン伯爵の「男は皆ケダモノだ」という教えを受けた結果、恋愛対象が女性メインへとシフトしていった。
こと恋愛に対しては肉食系であり、相手が誰だろうと構わないで食ってしまうタイプ。
ワイズマン伯爵家のメイドが何人か
メリルの容姿がストライクということもあり、合法的に結ばれるために、どうやってアランの側室に加えようかと画策している最中。
もちろんマリアンネのことも既に囲い込んでいて、お義姉さまと呼ばせるなどして、外堀を埋めにかかっている。
が、そんなことをアランは知る由もなく、「仲がいいのはいいことか」などと暢気に構えている状態。
アランがエミリーだけで満足していることにも気づいてはいるが、そうはさせない。
何としてでも義姉妹を増やしていこうと計画を立てているので、実はアランにとっての爆弾を増やす要因になる可能性が大。
四章の最後で、クリストフが自分も崇拝の対象にしたことを見抜き、彼を使ってとある計画を進行中。
いずれにせよ、アランに平穏が訪れる日は遠い。
「うふふふふ、マリアンネさんは満更でもない様子。やはりメリルさんを重点的に……」
「……どこで育て方を間違えたか」
ロバート・フォン・ワイズマン
大貴族に相応しい貫禄と、威圧感を兼ね備える男。
年齢は三十七歳と若いが、敵対した貴族が悉く酷い目に遭っているため、他家からナメられることは少ない。
外見と雰囲気を見た、アランからの評価は「魔王」となっている。
アランとクリストフの魔道具事業に早くから参加し、利権による影響力を大きく拡大させた今、彼に逆らえる人物は少ない。
だが。彼の周囲にいるのはとんでもない人材ばかりなので、意外と気を使わざるを得ない場面が多く、心労が募っているのが現状。
社交界で名を轟かせている彼ではあるが、家庭内の悩みは尽きず、家では渋面を作ることが多い。
主に娘に関する悩みだが、娘婿もまた悩みの種になっており、クライン公爵家からのアドバイスを受けながらアランを御そうと頑張っている。
「レインメーカー子爵。時に、茶は嗜むかね」
(考えろ、考えろ。何が逆鱗に触れたんだよオイ)
「……また変なことを考えているようだが。ただの、茶会への誘いだ」
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