109、いたくないよ(性描写あり)
彼女の手を取る。
手のひらは温かった。抱き寄せて、髪に触れると、まだ少しだけ水滴がついていた。
自分の心臓の音が、バクバクと耳の内側で聞こえる。
唇が触れる。そこも少しだけ
「……ん」
キスをする。
ゆっくりと時間をかける。
息継ぎをするのも忘れて、口と口とが密着する。舌と舌が触れる。彼女の力が、少しづつ抜けていくのが分かる。
ベッドの上にだらんと足を伸ばして、二葉先輩は小さな声で言った。
「な、ナルくん」
「は、はい」
「暗くして。は、恥ずかしい……」
ベッドの近くにあったスイッチを切る。
残ったルームライトの光は、オレンジ色だった。薄暗い部屋の中で、彼女の身体がぼんやりと照らされている。
バスローブを結ぶヒモに手を掛ける。
ゴクリ、と彼女が唾を飲み込む。ひもを解いていく。肩口の辺りから、彼女の服を脱がしていく。
素肌が、暖色の光に照らされる。
間近で見ると、想像していたよりも細い彼女の身体。ぷっくりと膨らんだ彼女の胸を隠す下着は、花の模様のついたピンク色だった。
二葉先輩は恥ずかしそうに、手で身体を隠していた。
「……そんなに見ないで」
「あの……とてもきれいなので……」
「そう……じゃなくて。もう、ずるい。ナルくんも脱いで」
俺が脱ぐと、彼女はもっと恥ずかしそうに目を
「……ばか」
「どうしたら……」
「言ってみただけ……」
彼女が腕を伸ばす。
素肌を触れ合わせると、気持ちが良かった。脚を
「……ぁ」
抱き合った箇所が、熱くて、ぽうっとしてくる。
「ま、待って」
こわごわと下着に手を伸ばすと、彼女が慌てたように言った。
「わ、わたし、やり方、わからないから」
暗くても分かるくらい、顔は真っ赤だった。
「は……初めてだし」
「お、俺もです」
「うまく……入るか分からない」
「初めては、痛いと聞いています」
「い、痛いのは怖い」
おびえた様子で彼女は言った。身体が緊張して、強張っている。俺もそこら中が震えていた。
未経験すぎて、どうしたら良いのか分からない。
「ぐ、グーグルで調べましょう。やり方」
「う、うん。そ、それが良い」
枕元のスマホで、急いで検索する。
どこを触れば良いかとか、避妊具のつけ方とか、痛くないようにするにはどうすれば良いかとか、シーツを汚さないようにしなきゃいけないこととか。
「あの、良いですか」
「……たぶん」
横たわった彼女を見下ろす。恐る恐る自分の身体を近づける。
「いた……」
彼女が唇をかむ。
「無理かも」
「緊張していると、うまく入らないらしいです」
「でも、緊張する」
二葉先輩は、泣きそうな声で言った。
「思っていたより痛い」
「ごめんなさい。よく分からなくて」
「あ……そうだ」
天井を見上げた二葉先輩は、思い出したように言った。
「そういえば、ナルくんのお姉さんからもらったものがあった」
「なんですか」
「紙袋……」
中身をひっくり返す。
出てきたものは、化粧品のチューブだった。それを周りに塗ると、滑りやすくなった。
「これで……大丈夫なはず」
タオルで手を拭いた二葉先輩は、改めて身体を横たえた。
「ふぅ」
「変な感じです」
「ふふ」
「疲れてないですか」
「疲れてるけど、大丈夫」
先輩は首を横に振って、俺を抱き寄せた。
「今が良い。今がとっても幸せだから」
肌に触れるもの全てが、柔らかいものであふれている。
目を合わせると、彼女はにっこりと微笑んだ。
「だから全然へいき」
「俺も、幸せです。とても」
「うん」
「ここで、良いですか」
「たぶん」
「……痛くないですか」
「ちょっと」
繋いだ手に力が込められる。
「でも我慢する」
「ゆっくりいきますね」
「……あ」
ゆっくり、滑りよっていく。
「…………ん」
彼女は目を閉じ、息を吐いた。
「……うん」
二葉先輩と繋がる。
薄いゴムを
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