第315話
「フッ……まだ世を倒すつもりで居るとは、実に愉快な事だ」
口論のような物をし始めた焔鬼とハヤテに肩を竦め、呆れた表情を浮かべ始めた覇鬼はそんな事を言った。それを聞いた焔鬼とハヤテは、顔を見合わせてから口角を上げる。
「愉快だってよ、ハヤテ。どうやらお前の頭が愉快な作りになってるとバレたらしいぞ?」
「へぇ、本当っスか?困ったっスね~。これは本気で印象を改めて貰いに行くしかないっスよね~」
「出来るのか?お前に」
「出来るっスよ?アニキが遅れなければ」
「誰に言ってやがる。お前程度の速度に合わせられないなら、総大将なんかやってねぇだろ」
「それもそうっスね。んじゃま、とりあえずやります――か!!」
首を少し鳴らしてから、ハヤテは目に留まらぬ速さで覇鬼との距離を縮めた。懐に一瞬で入り込んだハヤテに対し、覇鬼は目を見開きつつもその攻撃を回避して反撃して見せる。
「意表を突いたつもりだろうが、その程度で世は倒せんぞ」
鍔迫り合いとなる瞬間、ハヤテは身を引いて距離を取った。同時に焔鬼が真横から刀を振るうが、覇鬼は見えているのかそれすらも回避する。だが回避した先には既に、移動先で刀を振るおうとしているハヤテの姿があった。
「世の動きを誘導したか。フッ、面白いが――それだけだ」
「くっ……これを防ぐっスか」
「何だ、距離を取ってしまうのか?世を倒したければ、もっと速度を上げて果敢に攻めるべき場面だろう?それとも、もう体力が尽きてしまったのか?だとしたら興醒めだが」
「冗談は止めて欲しいっスね。これからっスよ、俺達の攻撃は!!」
そう言ったハヤテは、膨大な妖力を溢れさせて二振りの刀を構えて告げる。
「纏い――風刃・鎌鼬」
「纏いか。それで何が変わるのだ?」
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